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【INTERVIEW】社則、社恋、転職も扱うメディアミックス雑誌『DIAMOND BREAK!』

1998年12月10日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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 10日、(株)ダイヤモンド社は、ウェブ、メールと連動した雑誌『DIAMOND BREAK!(ダイヤモンド・ブレイク!)』を創刊した。週刊ダイヤモンドで知られる老舗の新しい雑誌だ。価格は650円。

 すでにメディアとの連携の新しい試みとして、今年7月にCD-ROMを添付した雑誌『BART 2320』(集英社・刊)が創刊。今回の『DIAMOND BREAK!』では、紙媒体としては初めて、最初からウェブ、メールとの連動を前提に企画されている。

『DIAMOND BREAK!』 『DIAMOND BREAK!』



 当面は季刊誌として発行され、第2号は来年3月10日に発売となる。来年半ばの月刊化を目指すという。創刊に際して同誌編集長の田代真人氏にお話を伺った。


「20代後半、“自分の今後が書いてある雑誌”」

----最初に『DIAMOND BREAK!』創刊の意図をお聞かせ下さい。

「対象読者を27歳から32歳の男性に設定ビジネスマンとしました。ビジネスマンは、本を読まない、活字を読まない、と言われています。それではパソコン誌は一体、誰が読んでるのだろうか? 本を読まないのではなく、必要な情報が載っていないのではないか、と考えたのです」

『DIAMOND BREAK!』編集長 田代真人氏『DIAMOND BREAK!』編集長 田代真人氏



----“30代ビジネスマン向け”、難しいターゲット層だと思いますが。

「現在のビジネス向けの記事は、ほとんどが“おじさん”の視点に立っており、40歳以上で、家族がいて、というモデルにたった中身ばかり。経済欄にもビジネス誌にもこれしか載っていないのです。将来のレールがある程度見えてきた人20代後半からのビジネスマンにとっては、自分の今後が書いてある雑誌がない、そうした情報がないというのが現状なのです」

「これまでは、会社に存在する情報が中心でしたし、それだけでよかった。今やそういう時代ではないのです。転職情報誌は多数ありますが、スキルアップなどを含めた総合的なものがありません。それを実現する雑誌作りを目指しました」

「コンセプトは、“ビジネス”、“趣味”、“女性”」

----それでは具体的にはどのような編集方針になるのでしょうか?

「男性誌の基本は、“ジャーナリズム”、“趣味”、“女性”だと思います。でも『DIAMOND BREAK!』では、ジャーナリズムは精神、良心としてすべてに通底するものと考え、“ビジネス”、“趣味”、“女性”という形に置き換えました」

「これからの男性は、ファッションでも車でも、基本的には仕事ができなければだめ。だから、ビジネス、仕事をベースとして、価値観を見極める目を養っていこう、そんなことをアドバイスしつつ、35歳までに魅力ある男性に自分を育てる、羅針盤のような雑誌にしたいと考えています」

「ウェブマガジンは、社内の規則、社内恋愛、転職がテーマ」

----インターネットと連動した雑誌を目指しているとのことですが。

「『DIAMOND BREAK!』は、今までの雑誌の作り方を覆していきます。編集者の思い込みだけで作るのではなく、読者の声もどんどん取り入れています。対象読者はリアルにインターネットを使いこなす世代。これらから、ウェブマガジンと電子メール新聞を介して読者や読者以外の方とコミュニケーションを図っていきます。コンテンツなどは一切外注せず、編集部内で制作しています」

----ウェブマガジンはどのような展開になりますか?

「基本的には、ウェブマガジンを週1回更新します。僕自身、創刊直前まで“創刊のごあいさつ”を“ほぼ毎日”更新してきました」

「ウェブマガジンでは、社内の規則、社内恋愛、転職といった会議室を置いて、訪れた人が自由に書き込みができます。ウェブにそうした会議室を持つことで、『DIAMOND BREAK!』の読者はもちろん読者以外の方からの意見も聞くことができると考えています。そうしたマーケティングをすることで、競合誌との比較も行なおうというわけです」

「雑誌の内容にリンクした記事も公開していきます。例えば、創刊号のグラビアには、NTTドコモのCM新キャラクターとして、人気上昇中の女子高生タレントの加藤あいさんに登場していただいています。その撮影裏話をウェブだけで公開しています。今後も雑誌では展開できないようなことをウェブで実現していこうと考えています。また、創刊号の表紙の素人読者モデルですが、今後、誌面に登場する読者モデルもウェブで公募していきます」

----電子メール新聞の中身はどのようなものなのでしょう?

「ウェブで『DIAMOND BREAK! net』の会員登録(対象は22~35歳の独身男女)を無料で公募しています。この会員になると電子メール新聞を週2回受け取ることができます」

「この電子メール新聞では、試写会やプレゼントなどのお得な情報から会員の口コミ会社ネタなどの楽しくて役にたつ情報や企業からの新製品モニター募集やプレゼントなどの情報、さらに会員のための合コンパーティーやパソコン講習会などのイベントの情報を提供していきます」

「今後は女性誌でも展開したい」

----インターネットと連動することでどのようなことを狙っているのですか?

「そこにあるニーズをうまく掴む、そしてその半歩先を提供したいと思います。そうした新たな仕組みをインターネットのコアな世代の普通の人とともに作っていきたいと考えています」

----今後の展開をお聞かせ下さい。

「今回は、男性誌として発刊しましたが、今後は女性誌もやりたいと考えています。現に、女性の投稿に“男性の意見がいっぱい載っている雑誌ならば買いたい”という声が寄せられています」

 これまでパソコン誌ではウェブやメールとの連動は有り得たが、いよいよ一般誌にもその波がやってきたようだ。雑誌の売れないこの時代、本当に読者に受け入れられるのを目指して、読者の声や反響の受け皿にウェブを使うのは新しい試みだろう。田代氏の思惑どおり、これがうまく機能すれば『DIAMOND BREAK!』を踏襲する雑誌が出てくるかも知れない。

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