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「大阪の此花地区を新国際メディア都市に」--第5回マルチメディアフォーラム/エレクトロニクスショー'98から

1998年10月13日 00時00分更新

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 “第5回マルチメディアフォーラム”が、大阪のエレクトロニクスショー'98会場で7日から9日の3日間に渡って開催された。最終日の“アミューズメント・コンテンツビジネスへの期待”と題されたセッション9では、大阪市此花区にオープンが予定されているユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が取り上げられた。

 出席者は、USJの営業本部長兼宣伝本部長のノーマン・エルダー(Norman Elder)氏とメディア教育開発センター助教授の浜野保樹氏とである。浜野氏は、マルチメディアフォーラムの第1回からの支援者であり、エルダー氏とも友人関係にある。

浜野氏(向かって左)とエルダー氏
浜野氏(向かって左)とエルダー氏



 エルダー氏は、ディズニー・イマジニアリング社に在籍中、東京ディズニーランド(TDL)を日本に誘致した立役者。一方、浜野氏は10年前、関東でのUSJ誘致の話があった際に、故・黒沢監督のパビリオン計画に関わっていたという(計画そのものはいつのまにか消滅したそうだが…)。ユニバーサル・スタジオは、本場アメリカでも絶大な人気を誇る正統派テーマパーク。その誘致プロジェクトがテーマだけに、地元大阪での期待は大きく、会場には大勢の参加者が詰めかけていた。

画面に魅入る浜野氏
画面に魅入る浜野氏



 まずUSJの誘致ビデオが流された。続いてエルダー氏が誘致施設に関して解説した。大阪のUSJには、米国のロサンゼルスとフロリダとにあるユニバーサルスタジオとほぼ同じコンテンツが持ち込まれることになっている。18のアトラクションと45の小売り施設。さらに、ロサンゼルスで大成功を納めているショッピングモール“シティ・ウォーク”も併設される。日本では、福岡市にある“キャナル・シティ”がロサンゼルスの“シティ・ウォーク”と同じデザイナーを起用して大成功を納めている。USJでも同じデザイナーを起用する予定だ。

熱弁をふるうエルダー氏熱弁をふるうエルダー氏



 もちろん、水の都大阪を意識した景観計画が進められている。此花地区をまたぐ2つの橋を利用したゾーニングや、水辺空間を活かしたリゾートホテルの経営などが計画されている。

 中心となる施設以外に注目すべきは、メディア地区開発計画戦略である。USJの周囲に映像やTV制作会社をはじめ、それらに関連した人材育成の施設を誘致するといったものだ。「日本の中でも立地の優位性を備えた此花地区の街とビジネスを変換し、新国際メディア都市を築く」とエルダー氏は語る。

 TDLの年間来場者が約3500万人。世界でも類をみない成功をもたらしたエルダー氏だけに、USJの計画についても相当自信があるようだ。USJの予想来場者数はオープン当初で年間800万人、関西エリアはもとより、アジアからの来場者も大きく見込んでいるという。

「映像ノウハウのかたまりが日本に来る」と浜野氏「映像ノウハウのかたまりが日本に来る」と浜野氏



 最後に、浜野氏は、「USJの誘致によって、実践で遅れている日本に、映像のノウハウのかたまりがやってくる」と語る。実際、スピルバーグ監督が京都で(芸者を主役にした)映画撮影を予定しているなど、関西エリアにおける映像需要への期待は高まりつつある。「日本に“ディズニー・フェロー”のようなテーマパーク学の思想が根付くことこそが最大の効果」という浜野氏の言葉どおり、2001年の春にUSJが花咲くのか注目したいところである。

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