三菱電機(株)は、代表取締役の北岡隆氏の辞任を発表した。後任は専務取締役で電子システム事業本部長の谷口一郎氏。6月の株主総会後、正式に決定する。北岡氏は退任後、取締役常任相談役に就任の予定。
同社は、景気低迷や東南アジアの通貨下落の影響により、DRAMなどの半導体、エアコンなどの家電事業が不振で、'97年度はマイナス700億円の連結最終赤字になる見通しという。今日の辞任は、この責任を取る形になった。今後、リストラなどにより事業の立て直しを図るという。
北岡氏は辞任に関して、「世の中の変化が速くなり、早期決断、早期実行をする敏捷性が経営に求められている。その点がいたらなかった。64bitDRAMがもうからないのはわかっていたが、16bitでもうかったので、(さらにもうけようとした)読みが甘かった」とコメントした。また経団連副会長も辞任するのかどうかについて、「経団連は優良企業で構成されるべきなので、三菱電機のような業績の会社の人間がいるべきではないとは思っている。しかし、(人事については)経団連が決めること」と記者の質問に答えた。
一部では今回の辞任は総会屋への利益供与事件の引責と報じられているが、同社広報では「そんなことは、いっさいない」と否定している。
今後について谷口氏は、「'97年度をボトムとして、'98年度からは大幅に業績を改善していきたい。来年度の計画はまだ策定中だが、総合電機メーカーとして、シェアを持っている分野は伸ばし、やや売上が落ちているものについては、場合によっては打ち切る。半導体に関しては、(DRAM内蔵システムLSIの)『eRAM』に力を注いでいく」と語った。
両氏の略歴は以下のとおり。
●北岡 隆(きたおか たかし)氏
'31年1月京都府生まれ
'55年に京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、三菱電機に入社。'89年常務取締役
電子デバイス事業本部長、'91年取締役副社長を経て、'92年取締役社長、現在に至る。
●谷口 一郎(たにぐち いちろう)氏
'36年11月兵庫県生まれ
'59年に京都大学理学部物理学科卒業後、三菱電機に入社。'95年常務取締役
電子システム事業本部長兼移動体衛星通信事業開発センター長を経て、'97年専務取締役
電子システム事業本部長、現在に至る。
(報道局 若名麻里)
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