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米Quinta社、次世代ハードディスクドライブ技術の概要を公開

1998年03月17日 00時00分更新

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 米Quinta社は、次世代ハードディスクドライブ技術“OAW(Optically Assisted Winchester)技術”の説明会を催した。データ転送に光通信技術を採用したことが特徴で、現行のWinchester技術と比較して、ディスクの記録密度の向上や小型化、低コスト化が実現できるという。



 同社マーケティングマネージャーのPhilip Montero氏は、OAW技術をWinchester技術の発展型と説明、「部品の大部分を共有でき、インターフェースの仕様も共通だ」と述べた。同技術の概要は以下のとおり。

・レーザー光のパルスを生成、あるいはパルスの向きを切り替える装置(OSM:Optical Switching Module)から、ディスク表面にレーザー光を照射するヘッドまでを、光ファイバーで接続する。

・ヘッド部の対物レンズを直径350μm以下まで小型化し、小さく鮮明なパルス照射が行なえる。

・ヘッド部のマイクロマシン反射鏡でパルスの照射先を微調整できるため、ヘッドを支えるアクチュエーターアーム自身を動かす必要がない。

・ディスクの基板として、現行のアルミニウムに代わり、軽量かつ低価格なプラスチックを採用する。磁気層にはアモルファス希土遷移金属を使用する。アモルファスは、ディスク表面に対し垂直方向の磁場を形成できるため、表面積当たりの記録密度が向上する。

 同技術により、1平方インチ当たり40Gbit以上の記録密度、1インチ当たり10万以上のトラック密度を持つハードディスクドライブが実現できるとしている。すでにプロトタイプの開発を終えており、製品化は年内を予定しているが、Montero氏は、「われわれはこの技術を長期的戦略に立って捉えており、製品化をあえて急ごうとは思わない」と語り、市場に中途半端な製品を投入しないことを約束した。

 Quinta社は2月に、カリフォルニア州にOAW技術の開発拠点となる“光技術開発センター”を開設、すでに160人以上の体制を組んで研究開発を進めている。同社は米シーゲイト・テクノロジー社の100パーセント子会社であり、シーゲイト社も、資金面および人材面で援助を行なう意向を示した。両社の社運をかけた技術であることが伝わってきた。(報道局 浅野広明)

http://www.quinta.com/(Quinta)
http://www.seagate.com/(シーゲイト・テクノロジー)

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