3Dアプリケーションといっても、現状では一般的にはまずゲームということになる。ところが、3Dのファンクションには膨大な種類がある。そのためDirct3DというAPIでハードウェアを完全に抽象化できていないので、3Dアクセラレーターについてはゲームソフトメーカー側である程度個別にサポートせざるをえないという現実がある。そこで、米インテル社が発表した主要PCゲームソフトメーカーのIntel740に関するコメントを見てみよう。
Activision社(http://www.activision.com/)
「Intel740のレンダリングパワーと画像品質はすごい。弊社は今後出すすべてのリアルタイム3Dゲームで740をサポートするつもりだ。近日中にリリースするアクションストラテジーゲーム『Battlezone』でテストしたところ、Intel740を使ったシステムで走らせると驚くほど速かった。40~50フレーム/秒というフレームレートで動作することを確認しており、まだパフォーマンスを絞り出せる余地がありそうだ」(副社長、Eric
Johnson氏)
“Battlezone”の開発中画面。同社Webサイトでプレイアブルなデモ版が入手可能。Copyright Activision. |
id Software社(http://www.idsoftware.com/)
「Intel740は妥協のないパフォーマンスを提供してくれる。『Quake
II』プレイヤーには全面的に勧められる。Intel740はコンシューマーレベルの3Dグラフィックス、たとえばゲームのビジュアルエフェクトで妥協する必要がないということを見せてくれた」(テクニカル・ディレクター兼社長、John
Carmack氏)
一人称アクションといえばこれ、『Quake II』。APIはOpenGLを採用。Copyright id Software. |
GT Interactive社(http://www.gtinteractive.com/)
「弊社の新作ゲームタイトルにおいてIntel740をサポートできることを喜ばしく思う。そのパフォーマンスと豊富な3D機能は、われわれの顧客に思わず快哉を叫びたくなるビジュアル体験をもたらすだろう」(チーフ・テクニカル・オフィサー、Mike
Bartholomew氏)
同社が昨年から開発中の『Unreal』。ずいぶん長く待たされているような気がするが。Copyright GT Interactive. |
Creation社(http://www.mracer.com/pc/)
「Intel740ははっきり“買い”だと言い切れる3Dアクセラレーターだ。高速かつ、フォグ、バイ・リニア・フィルタリング、ミップ・マッピング―それから実はこれは使いものになる機能を持っている例は少ないのだが―エッジ・アンチ・エイリアシングなど3Dエフェクトの豊富さもトップレベル。しかもAGPに最適化されているため、ハイレゾモードでも精細なテクスチャーが使える。これが弊社のグラフィックスアーティストを喜ばせている。もうひとつ忘れてならないのが2Dの速さで、これはウィンドウモードでも同様だ。われわれの次回作『Moto
Racer 2』はこれらの機能をフルに活用して従来のバイクレースゲームでは見られなかったレンダリングクオリティーを持ったタイトルになるだろう。Intel740は3D時代の新しいマイルストーンになるだろうと思う」(副社長、Paul
CUISSET氏)
『Moto Racer』の画面。昨年出た3Dゲームの中でももっとも人気のあるもののひとつ。『Moto Racer 2』が現在開発中。Copyright Delphine Software International. |
Ubisoft社(http://www.ubisoft.com/)
「Intel740は今までわれわれが開発に使ってきた3Dアクセラレーターの中で最良のものだ。そのポリゴン描画能力には感銘を受けた。Intel740はAGPに最適化されているので、パフォーマンスを低下させることなく多量のテクスチャーメモリーを使える。弊社の『Tonic
Trouble』では1面あたり最高16MBまで使える。また740はバイ・リニア・フィルタリング、ミップ・マッピング、フォグ、トランスペアレンシー、パーティクル、ミラーリングなどハイエンドの3Dファンクションをほとんど持っている」(CEO、Yves
Guilemont氏)
『Tonic Trouble』の開発中画面。カートゥーンライクな世界で展開されるリアルタイム3Dアクション。CD-ROMとDVD-ROMで今春発売予定。Copyright Ubisoft. |
LucasArts社(http://www.lucasarts.com/)
「弊社はIntel740をサポートするためにインテル社と密接に連絡を取り合って開発作業を進めている。弊社の次世代3DゲームはIntel740のレンダリングスピードと豊富な3Dファンクションセットを活かして優れたものになるだろう」(セールス・マーケティングディレクター、Mary
Bihr氏)
『MYSTERIES OF THE SITH』は『JEDI KNIGHT: DARK FORCES II』の続編ミッション。Copyright LucasArts. |
Broderbund社(http://www.broderbund.com/)
「Intel740は無類の画像クオリティーを約束する3Dのブレークスルーだ。この技術を使って次の新作タイトルではクリエイターが意図したとおりのものを作るつもりだ」(CTO、Mike
Foulger氏)
……というわけで各社ほとんど絶賛の嵐状態(インテルのWebに上がってるんだからあたりまえだが)。多少細かく見ていくと、Ubisoft社のYves
Guilemont氏らが言うように、ゲームソフトメーカーとしてはやはりレンダリングに関して多量のテクスチャーデータをシステムメモリーから1工程で転送できるAGPのexecute
modeに魅力を感じているようだ(バンド幅は528MB/秒)。言い換えれば、そういう大きなテクスチャーデータを扱うゲームなどのアプリケーションが登場しない限りAGPの存在理由はほとんどない(普通のビジネスアプリなどを使う限り、グラフィックスでPCIバスがボトルネックになる場面は考えにくい)。ここに登場したソフトベンダー以外も含めて、本年第1四半期から第2四半期にかけてそういうアプリケーションが続々発売される予定だ。
ハードウェアベンダーの中には、既存のAGPグラフィックスカードのほとんどがPCIバスのグラフィックスカードに比べて小さなアドバンテージしかなく、350MHz以上のPentium
IIと440BXチップセットの組み合わせでないとAGPのパフォーマンスをフルに引き出せないと言うところもある。確かにジオメトリー処理のほとんどをCPUが行なっている限り、高速CPUは欲しい。しかしそういう環境が整うのもそう遠い話ではない。
一時期、システムメモリーの一部をミップ・マップ用のテクスチャーデータ処理に使うAGPより、グラフィックスカード側にでかいフレームバッファーを積めばいいではないかという議論もあった(当時はメモリーの価格がどんどん下がっていた)が、今日では4MBのローカルメモリーをグラフィックスカードに追加するよりAGPを使うほうがコスト的に有利と考えるグラフィックスカードメーカーが多数だ。
とにかくPCゲーマーとしては、ATIの3D Rage、nVIDIAのRIVA 128にIntel740が加わり、“速い!
美しい! おもしろい!”というAGP対応ゲームが春から夏にかけてどんどん出現することを期待したい。(報道局 河村康文)
http://www.intel.com/pressroom/archive/backgrnd/agp21798.htm