このページの本文へ

“第8回コンピュータ将棋選手権”が開幕

1998年02月12日 00時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷


 コンピュータ将棋協会(CSA)主催の“第8回コンピュータ将棋選手権”が、本日開幕した。コンピューター将棋界最強のプログロムを決する選手権で、35チームが出場。本日の予選で勝ち残った5チームと前回の上位3チームの計8チームで、明日13日に総当たり戦を行ない、順位を決定する。優勝賞金は30万円、以下、2位20万円、3位10万円となっている。明日の試合(9:40~19:00)は一般公開される。会場は千葉県浦安市のシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル&タワーズ、入場料は1000円。

 優勝候補と目されるプログラムは、前回も優勝争いを繰り広げた“YSS7.0”と“金沢将棋2”。YSS7.0は前回、全勝優勝をさらった実力派。今回、さらなるレベルアップを図り、2連覇を狙う。市販の将棋ゲームソフト『AI将棋』で採用されているプログラムでもある。また、金沢将棋2は前回、本戦でYSS7.0に敗れはしたものの、6勝1敗と堂々の2位。これも市販ソフト『金沢将棋』に採用されている。このほか、『柿木将棋』、『森田将棋8』などの市販ソフト勢がどこまで優勝争いに食い込めるかが見どころとなりそう。同選手権では毎年のように、常連のプログラムが上位争いをしており、今年も大番狂わせは難しい、というのが大方の予想だ。

 '97年には、チェスの世界チャンピオンがついにコンピューターに敗北を喫したが、将棋界においては人間とコンピューターの差はいまだ歴然としている。CSA会長で東京農工大学教授の小谷善行氏は、現状のコンピューターの棋力を「2、3段」と見る。しかし、「'90年の第1回大会当時は5級くらいだった」(小谷氏)というから、その加速度的な棋力の成長はあなどれない。

 



 『コンピュータ将棋の進歩』、『将棋とコンピュータ』(いずれも共立出版)の著者でもある通産省工業技術院電子技術総合研究所の主任研究官・松原仁氏も、審判として会場を訪れた。コンピューター将棋について松原氏は、「序盤は棋譜のデータベースを充実させることで人間に十分対応できるようになってきた。また、終盤における確実な読みは、コンピュータのもっとも得意とするところ。問題は中盤。形勢判断を行ない、長いスパンの戦略を立てるのが苦手で、実力差もここに現われるといってよい」と語った。

 形勢判断の甘さが指摘されるコンピューターだが、やはり人間の予想どおりには打ってくれないようで、会場でも、「いい手だね」と自分の作ったプログラムに感心する人もいれば、「なに、この手」とため息を吐く人もしばしば。ひとつの駒を繰り返し前後させる、などというプログラムもあった。ただ、上位チーム間では緊張感のある真剣勝負が展開され、1年間、練りに練ったプログラムに託す自信が感じられた。勝負の行方は明日決する。(報道局 浅野広明)

http://www.ff.iij4u.or.jp/~jun1/csa/

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン