このページの本文へ

“ISSジャパン98”2日目、半導体業界を概観する

1998年02月05日 00時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷


 昨日開幕した半導体関連のシンポジウム“ISS(Industry Strategy Symposium)ジャパン98”において、本日、講演およびワークショップが行なわれた。開催期間は2月6日までで、参加は申込制。国内外から10人のスピーカーを招き、半導体業界の現状と未来を概観できるシンポジウムとなった。

 基調講演は、(株)東芝の常任顧問、川西剛氏。次世代の半導体産業の展望を語った。現在、世界の半導体市場は年間1500億ドルを超え、2000年には3000億ドルに届くだろうと予測されている。'96年以来、市場の成長に伸びが見られないものの、川西氏は「Windows98の登場が半導体需要の伸びを促進するひとつの要因になる」と見ている。また、今後注目すべき技術として、ひとつのチップ上にCPU、メモリー、ASICなどを混載する“システムLSI”、0.25μmから0.18μmへ、あるいはそれ以下への微細化が検討されているデザインルールなどを挙げ、DVDの伸びにも期待を寄せていた。

 中でもシステムLSIは、今回のワークショップでもしきりに取り上げられた話題。メリットとして高速化、小型軽量化、省消費電力化のほか、設計によってLSIに付加価値を付けやすいことなどが指摘された。

 また、300mmウエハーの動向も注目されており、会場からは「ウエハーの大口径化はどこまで進むのか」などという質問もよせられたが、「製造装置の大型化やコスト面も考えると、400~500mmが限度ではないか」というのが、大方の意見であった。

 半導体産業の抱える問題点としては、まず環境に及ぼす影響が考えられる。この点については、日本電気(株)半導体企画室部長の早川喜進氏が講演を行なった。早川氏は、「ダイオキシンの問題を見てもわかるように、まず問題が起こったのちに法案ができるのが順序だ。これからの企業はただ法案を遵守するのではなく、省エネや化学物質の再資源化などを自発的に提言すべき」と各企業に呼びかけた。

 また、半導体製造に利用されるPFCガスに関しては、CO2の1万倍、地球を温暖化する作用を持つと言い、「炭素税が1リットルあたり2円取られると仮定すれば、今のPFCガス消費量は、日本全体で年間200億円もの税金に値する」との試算を示し、排ガス処理研究や再資源化研究に200億円を充てる価値があると述べた。

 米国、欧州、アジアの半導体産業についても、講演が行なわれた。中でも、近年、GDP成長で最も高い伸びを見せているアジアに焦点が当てられた。日本、韓国の不況は半導体産業にも反映しているものの、台湾、シンガポール、マレーシアなどにおける確実な成長が強調され、三菱電機(株)半導体営業企画部参事の釜原紘一氏も、「今後2000年までの成長率はアジアで最も高く、年間平均20パーセント弱になるだろう」との見解を示していた。

 特に台湾の半導体業界は、政府による豊富な援助を受けているだけでなく、国外企業との積極的なAlliances(同盟)を推進しており、'97年の半導体製品の売上は15.2パーセントの伸びを見せている(全世界平均では5.6パーセントの伸び)。台湾の工業技術研究院(ITRI:Industrial Technology Research Institute)副院長、Genda Hu氏は、「現在84億ドルである半導体の売上は、2003年には323億ドルまでアップすると予測している」と強気のコメントを発表した。(報道局 浅野広明)

 

 

左から順に川西剛氏、早川喜進氏、Genda Hu氏。 左から順に川西剛氏、早川喜進氏、Genda Hu氏。


TEL.03-3222-5755(SEMIジャパン)
http://www.semi.org/(SEMI国際本部ホームページ)

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン