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日本DEC、小額電子取引システムの公開実験開始を日本でも発表

1998年01月30日 00時00分更新

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 日本ディジタルイクイップメント(株)は、米DECが21日、小額電子商取引システム“MilliCent”の世界規模での公開実験開始を発表したことを受け、日本でも公開実験を開始したことを発表した。



 MilliCentは、小額の電子取引を目的としたシステムで、最小取引額は0.1セント。同システムは、“ブローカー”と呼ばれる発行機関、“ベンダー”と呼ばれるオンラインショップ、“ユーザー”である利用者の3者で成り立っている。ユーザーはブローカーから、商品券やクーポン券などに値する“ブローカースクリップ”(Broker Scrip)を、クレジットカードなどで購入する。さらにブローカーが、ブローカースクリップと、各ベンダー専用のクーポン券に値する“スクリップ”(Scrip)との交換サービスを行なう。ユーザーは、そのベンダー専用スクリップを使って、ベンダーから商品を購入する仕組みとなっている。また、細かくなった各ベンダーのスクリップを、ブローカーでまとめてブローカースクリップに交換できる“キャッシュアウト”も可能。

 また、MilliCentで販売される商品は、たとえば電子新聞の1記事購読料、オンラインゲームの1ゲームアクセス料、大学が所有する辞書の1単語の閲覧料などといった、細かい情報料などが中心。よって一般の通信販売のような物流を必要とせず、インターネットの中で取引が完結するのが特徴だ。

 ユーザーはオンラインショップのホームページにアクセスするだけでよく、認証手続きなどを必要としない。一方ベンダーは、多数のユーザーアカウントを管理する手間を省くことができる。同社は、「ベンダーに負荷はない。ベンダーサーバーやプライシングツールなども、専用ホームページからダウンロードでき、簡単に作り込みが可能だ」としている。ブローカー候補としては、金融機関や電話会社、インターネットプロバイダーなどがあげられている。また、これらの企業が共同で行なう可能性もある。実験では、当面はDECがブローカー業務を行なう。

 今回の公開実験は、ブローカー、ベンダー、ユーザーの3者間の取引がスムーズに行なえるかどうかのシステムの検証と、小額取引で実際に商売が成り立つかどうかのビジネスモデルの検証が目的。実験期間は数ヵ月で、その後実稼動に入る予定。ソフトウェアのローカライズ、すなわち日本語化もそのころに行なうとしており、年内には実用化すると同社は予測している。現在、実験に参加している企業は、世界で20社ほど。日本でも数社が参加を表明している。コンパックの買収による戦略等の変更はないという。

 MilliCentについて、同社インターネット企画部の沖原氏は「ローコストのトランザクションを提供する。あくまでも“小額”の取引が目的。DigiCashやCyberCashなど、他のマイクロコマースシステムと競合するとは思っていない」と説明し、「物流を必要としない小額取引を確立させることで、インターネットコマースをさらに活性化させたい」としている。セキュリティー問題に関しては、「取引される額が10銭や5円といったものなので、仮に暗号解読などして横取りしようとすると、かえってコストがかかるのでは」と、小額取引ゆえの安全性を強調している。

 なお、今回の実験用に10ドルぶんのスクリップをインターネット上で無料提供する。今回の実験はUSドルのみで行なわれるが、実用化の際は、自分の所有するスクリップの金額を、各国の通貨単位に切り替えて表示できるようにしたいとしている。(報道局 桑本美鈴)

・MilliCent公開実験についてのページ
 http://www.millicent.digital.com/

・日本DECホームページ
 http://www.dec-j.co.jp/

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