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デジタルエンタテインメントアカデミーが生徒の作品制作発表会を開催

1998年01月29日 00時00分更新

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 ゲームクリエイター養成学校・デジタルエンタテインメントアカデミーが、制作発表会を開催した。

 同校は、'91年10月1日にゲーム会社(株)エニックスの100パーセント子会社のゲームスクールとして設立された。その後、ソフト会社10社の協力を得て現社名に変更。現在は(株)アスキー、(株)アトラス、(株)エニックス、(株)カプコン、(株)光栄、(株)コンパイル、(株)スクウェア、(株)セガ・エンタープライゼス、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント、(株)タイトー、(株)ナムコ、任天堂(株)、(株)ハドソン、(株)バンプレスト、(株)マイクロキャビン、(株)メディアワークスという、大手16のゲーム会社が株主となっている。

 昨年春の時点で、生徒は全校で約360人。入学時の平均年齢は19.8歳という。同校事務局長の岡村太三栄氏の言葉を借りると同校は“ゲーム業界に就職するための予備校”という位置づけで、この制作発表会は、実質ゲーム会社からのスカウトの場となっているという。この制作発表会は毎年開催されているもので、今年も大手ゲーム会社からたくさんの“スカウトマン”が足を運んでいた。生徒のほうもきちんとスーツを着て、自分の作品のアピールに必死だった。その場で面接のようなことが行なわれていて、ゲーム業界の熾烈な争いを垣間見たようだった。

 制作発表は、2年生のチーム制作作品がメイン。約7人が1チームとなり、プログラム、グラフィック、サウンドとそれぞれの得意分野を活かして共同で作品を作り上げる。チーム制作全13作品中、7作品がアクションゲーム。そのまま家に持って帰ってプレイしたいと思えるほど、完成度の高い作品もあった。ただ、“予備校”という性格上、ゲーム会社からアプローチがあると、すぐにその会社にアルバイトなどで行ってしまうため、チームの何人かが抜けてしまうこともあるそう。だからもっと続きが見たい、と思っても、「グラフィック担当が某社に行ってしまったので」といった返答もしばしばだった。

 別のフロアでは、1年生の個人制作のものも展示されていた。こちらのほうは、まだ使える技術が限られているが、それぞれの個性が伺えて、興味深かった。

 

作品に見入るスカウトマン(?)     平野雅一郎学長 作品に見入るスカウトマン(?)     平野雅一郎学長


 同校学長の平野雅一郎氏にお話を伺った。

「私どもの学校に入学してくる生徒は、親の反対を押し切ってくる人が多いんですよ。ゲームが好きで、ゲーム業界でとにかく働きたい、という人がほとんどです。だから親のすすめで嫌々来るような人はいないんです。逆に親が初めは反対するケースがあって、親としては“ゲームスクール”なんて、得体が知れないとお考えになるのか、毎年1~2件の興信所調査が入ったりしたことがありました。親が学費を出してくれないから、自分でアルバイトしてお金を貯めてから来る、なんて生徒もいました。最近は親が若くなって、ゲームをやったことのある人が多いせいか、だんだんなくなりましたけどね」

「ゲーム業界で働くためのひとつの手段としてはっきりとした目的を持ってくるので、こちらも“予備校”と割り切って実践しか教えません。生徒たちの夢を叶えるにはどうしたらいいか、を第一に考えています。

 ウチの場合、母体がゲーム会社ですので、利益を出すとかより、いい人材を育て、その人材が株主の配当となるという感じです。利益が出たら、そのぶん生徒に還元しろ、というふうにも言われてますしね。ほかの学校に比べて、母体のゲーム会社とのパイプが強いこと、そのため現在の技術を比較的容易に取り入れることができ、講師も一線で活躍する方を招くことができる、という点が大きな違いだと思います。産学協同のなせるわざと言えますね」

 平野氏は学長に就任する前は、(株)ポニーキャニオンほかのゲーム畑を渡り歩いてきた人。それだけにゲーム業界の今後を担う、新しい人材の育成に熱心である様子
がうかがえた。(報道局 酒寄公子)

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