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『CD-ROM星の王子さま』出版記念で牧瀬里穂、野沢那智らがパネルトーク

1998年01月22日 00時00分更新

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 (株)岩波書店、大日本印刷(株)、ブレイングループは、『CD-ROM 星の王子さま』の発売を記念し、“東京国際ブックフェア'98”が25日まで開催されている東京ビッグサイトで、パネルトーク“『星の王子さま』と私”を行なった。パネリストとして以下の4氏が出席した。このCD-ROMで脚色・演出担当、CD-ROM『ルル』の作者として知られるロマン・ビクトール=プジュベ氏。飛行士役、ナレーションを担当した野沢那智氏。王子さま役の牧瀬里穂さん。東京日仏学院院長・マリー=クリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセルさん。

 今年は橋本=シラク日仏首脳会議で交わされた“21世紀に向けての日仏協力20の措置”よる“日本におけるフランス年”。その最初のイベントとして東京国際ブックフェア'98で“フランスパビリオン”が設置されている。今回のパネルトークにも、フランス文化参事官・クリスチャン・モニュー氏、『星の王子さま』のフランスでの版元であるガリマール出版社の社長、アントワーヌ・ガリマール氏が冒頭挨拶を述べた。

 その中でガリマール氏は、「CD-ROMが初めて出てきたころは、こんなもの、内容がなくてただの“最新技術”というだけじゃないかと思っていた。でも、いろいろよい作品が出てきて、とくに今回のように『CD-ROM星の王子さま』のような作品ができるようになった。技術と中身が結びついたと思う。原文のいいところが作品に活かされていて、すばらしい俳優の朗読もきける」と、CD-ROMに対する認識がまったく変わったことを述べていた。モニュー氏も「このCD-ROMは、最新技術を見られるだけでなく、本に対する尊敬、というものがうかがえる」と、新たな文化としてCD-ROMを見ているようだ。

 パネリストの4氏は、今回の題目“星の王子さまと私”について、それぞれ以下のように述べた。

ロマン氏「子どものころにももちろん読んだけれど、大人になって改めて読み返してみて“新しい”『星の王子さま』になっている。今回読んで感じたことは、子どもにあったときの大人の視線が、いかに違うのか、というのを思った。と同時に、子どもの視線というものがいかに大人と違うか、ということを感じた。このCD-ROMには、お話だけでなく、原作者サン=デグジュペリの生涯、作品についての豊富な資料が収録されている。今回このCD-ROMを作るとき、作品だけでなく、この部分にも、私は入り込んでしまった。ぜひCD-ROMをご覧になっていただきたい」

ナヴァセルさん「日本に来ることが決まったとき、“日本は非常に狭い”と言われ、あまり本を持っていけないな、と思いました。それで持って行く本を厳選したんですが、その中にこの『星の王子さま』も入っていました。昨日改めて取り出して読んでみましたが、私はこの王子さまよりずっと早く年をとってしまったけれど、精神年齢は同じくらいだな、と思いました。初めて読んだのは10歳ぐらいだったんですが、“本と出会えた”と感じたのは、この本が初めてでした。日本ではこの本が400万部も売れているそうですが、日本の方、とくに若いビジネスマンの方がこの本を読んでどう感じるのか、またCD-ROMになって、どう感じるのか、ということに非常に関心があり、ぜひ知りたいと思っております」

野沢氏「自分がこれから演じようとしているものについて語るって言うのは、とても難しいモノがあります。フランスの今はなき俳優ジェラール・フィリップ氏が朗読した『星の王子さま』がすばらしい、というのをきいて、聴いてみたいな、と思っていたところ、自分がやることになってびっくりし、プレッシャーを感じております。ブルース・ウィリスやアラン・ドロンの吹き替えをやるときのように、気楽な気持ちではできないですね。フランス語の響きはすばらしいと思いますが、日本人はなぜか日本語をあまりいいと思わない。でも、今度の朗読で、日本語も美しいんだ、ということを認識してもらえるようにがんばりたいと思います」

牧瀬さん「小さいころ読んだときは、これほどこの作品がすばらしいということに気づきませんでした。今回読んでみて、こんなに深くて、大切なことがいっぱいある、ということに感動しました。私は王子さま役をやるので、つい王子さまと自分を比べてしまうんですけど、私は男の子でもないし、王子さまみたいに若くもない。だから王子さまにどうしたら近づけるかというのが心配です。純粋に、楽しさ、悲しさを表わせたらいいな、と思います」

 この『CD-ROM星の王子さま』は、6月発売予定。Windows95とMacintoshに対応で、価格はCD-ROMのみが4600円、本といっしょになった『岩波CD-ROMブック』は5700円。本を読み進めていく形式で進む“ブックパート”、キツネとゲームを楽しむ“ゲームパート”、サン=テグジュペリの生涯と作品を紹介する“ヒストリーパート”の3つの部分からなる。

 最近、CD-ROMが売れない売れないといわれているが、作品の内容が良くないのも原因のひとつ。この作品は大ベストセラーを題材にし、さらに豊富なデータが収録されている。今までCD-ROMを見たことがなかった人にもとっつきやすく、お薦めのできる作品。冒頭のガリマール氏の挨拶にもあったが、このような質の高い作品がどんどん出て、CD-ROMに対する認識が変わり、この市場の活性化する原因になれば、と思う。(報道局 酒寄公子)

http://www.iwanami.co.jp/PetitPrince/(岩波書店)、
http://www.transart.co.jp/fumi/prince/(大日本印刷)

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