トレンドマイクロ(株)と米IBM社は、両社のウイルス対策製品における特許のクロスライセンスで合意した。
コンピューター・ウイルス対策に関し、トレンドマイクロ社、と米IBM社は、申請中の物も含め、それぞれ十数件の特許を取得しているが、今回の提携によって、双方の特許に関し何の制約もなく自由に使用できるようになる。
マイクロトレンドが保有している特許のうち、インターネットのゲートウェイ・レベルでウイルスを検出してネットワーク全体を保護する技術“インタースキャン”、電子メール・グループウェア環境においてウイルス検出をする技術“スキャンメール”、マクロウイルスをAI的に検出する技術“マクロトラップ”などがある。
このうち“インタースキャン”については、米Network Associates社(旧・米McAFEE社)、米Symante社を、特許侵害があるとして、'97年5月13日に北カリフォルニア地裁に告訴し、現在係争中である。
一方のIBMが、トレンドマイクロ社にライセンス供与する特許の中には、人間の免疫システムをモデルとしたウイルス防御技術“自動免疫システム”が含まれている。
トレンドマイクロ社のSteve Chang社長兼CEOは、「両社の優れた技術のクロスライセンスによって、互いの特許権も認め合い、かつ公正でオープンな市場での競争をすることにより、すべてのコンピューターユーザー、とりわけ企業ユーザーに対して、大きなメリットを提供できる」というコメントを発表している。
また、米IBM社で知的所有権・ライセンス部門を担当しているMarshall
c Phelps jr.副社長も、「他社の技術の知的所有権を認めることは、IBM自身が開発した技術を保護するのと同様、重要なことと考えている。今回のようなライセンス合意を通じて、IBMが開発した新技術を活用できるようにすることは、コンピューター業界と顧客の双方にとっても有益である」とコメントしている。
今回の提携に関し、最初に働きかけたのは米IBM社側であったという。なお米IBM社は、今回の提携に際して、トレンドマイクロに対して、一括して現金を支払っているが、その詳細については公表していない。(報道局 佐藤和彦)
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