このページの本文へ

【Linux Conference 2000 Fall】(その4)

「夢見ることができれば、それを成し遂げられる」Larry Wall氏講演―Perl6の話題も

2000年12月01日 23時52分更新

文● 吉川

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

京都で開催されている「LinuxConference 2000 Fall」(以下LC2000)を、宮原徹氏がレポート。今回はLC2000と併催された「Perl/Ruby Conference」における、Perlの開発者Larry Wall氏の基調講演をレポート。

講演中のLarry Wall氏写真講演中のLarry Wall氏

米O'Reillyの研究員として、Perlの開発を続けているLarry氏の近年の活動を振り返るところから講演が始まった。同氏は「ラクダ本」で知られる氏自身のPerl解説書を中心に、開発以外の面でもさまざまな活動を精力的にこなす、プロフェッショナルオープンソースプログラマーの代表的存在である。

同氏は「夢見ることができれば、それを成し遂げられる」というウォルトディズニーの言葉を引用して、次期バージョンであるPerl6について語った。

何もかもを再発明することにより、あるは再発明するためにPerlを作った。それは外部APIや内部APIといったことだけではなく、言語としてのPerl、そして文化としてのPerlといった広い部分まで含まれるという。

その証拠のひとつとして、Perl6に関する21のワーキンググループのメーリングリストに、2000年8月の1カ月間だけで約8000ものメールが投稿されており、Perlという1つの言語を中心とした文化が成立していると言っていいのではないだろうか。

そのような状況を踏まえて、Perl6はRFC(Request for Comment)の形式でのオープンなディスカッションを経て、仕様を決定したという。実際、この間に非常にさまざまな意見、「PerlはPerlであるべきだ」というような意見まで含めて多岐にわたって寄せられたが、特に多かったのはオブジェクト指向に関することであった。

それらの成果の一例として、Perl6すべての変数がオブジェクトとして扱えるほか、すべての変数が内部的にはすべてオブジェクトとして扱われているという。これら以外にも随所にオブジェクト指向的な機能が盛り込まれていくとのことだ。Perl自身は、開発当初からオブジェクト指向を目指したスクリプト言語「Ruby」と何かと比較され、オブジェクト指向に対する取り組みが比較するためのひとつのキーポイントとなっているが、徐々にPerlもオブジェクト指向化していくのであろうか。

Larry氏はPerlを低級言語であり、高級言語であり、メタ言語でもあると捉えている。つまり、「使い手の考えによって、ありようをいくらでも変化させられる」とでもいえばいいであろうか。WebのCGI開発用言語として爆発的に普及したPerlだが、Larry氏はPerlをPerlで開発したい(※1)とも語っており、今後はそれ以外の分野においても幅広く応用されることを期待したい。

※1 著者注:実際にはPerlはインタプリタ言語なので、PerlのすべてをPerlで開発することは構造上不可能(笑)

カテゴリートップへ