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【Linux Conference 2000 Fall】(その3)

「オープンソースとビジネス」パネルディスカッション

2000年11月29日 00時00分更新

文● 宮原徹

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Linux Conference 2000 Fall初日の11月29日、オープンソースとビジネスの関わりについて話し合うパネルディスカッションが行なわれた。ディスカッションのポイントは、命題にもなっているが「オープンソース開発者のビジネスにおける位置付けは?」である。

パネラー一覧

  • 日本Linux協会理事 佐渡秀治氏
  • Ruby開発者 ゼータビッツ(株) まつもとゆきひろ氏
  • オムロンソフトウェア(株) 中西紀晶氏
  • 三菱電機(株) 藤巻淳氏
  • Project BLUE
  • (株)グッデイ 前田青也氏

パネルディスカッション写真その1
右より、日本Linux協会理事 佐渡秀治氏 / Ruby開発者 ゼータビッツ(株) まつもとゆきひろ氏 / オムロンソフトウェア(株) 中西紀晶氏

パネルディスカッション写真その2
右より、三菱電機(株) 藤巻淳氏 / Project BLUE―(株)グッデイ 前田青也氏

まず、会社の経営者としてオープンソースソフトウェアの開発者を雇用している立場にある前田氏((株)グッデイ)の意見だが、オープンソースソフトウェアそのものの売り上げによるビジネスは成り立っていないものの、それらのソフトウェアが呼び水となったシステム開発での収益により、十分ビジネスは成り立ちうるという。だからこそ、オープンソースの開発者には仕事として好きにソフトウェアの開発をさせているという。

この意見に対して中西氏(オムロンソフトウェア(株))からは、組織的に作業を行なうという点では、会社という枠組みの中ではなかなか開発者に対して自由に開発を行なわせるわけにはいかない現実がある、という反論がなされた。

また、まつもと氏(Ruby開発者 ゼータビッツ(株))からは、“Rubyというオープンソースソフトウェアを開発している”ということが企業のイメージアップに繋がるであろうという点が語られた。さらに、Rubyというコアテクノロジーによるシステム開発のアドバンテージを、現在会社として追求しているという。

藤巻氏(三菱電機(株))からは、LinuxなどのオープンソースOSへの対応により、同社のUPSの販売が向上したという。実際にLinux版のメンテナンスに技術者を割り当てているが、単純にUPSの売り上げだけでなく、ブランドとしての目に見えない効果は確実にあるという。ただし、この目に見えない効果というものが、「会社」という組織においては判断が難しいとのこと。


4者の立場はそれぞれ違うものの、オープンソースがビジネスに結びつく手ごたえは確実に感じているといえるだろう。

ただし、議論全体がトータルなシステム開発におけるオープンソースソフトウェアの位置付けといった感じになってしまい、オープンソースソフトウェア単体で見た場合のビジネスモデルについて、議論が得られなかったのが残念であったといえる。

記事公開当初、文中にて中西紀晶氏と藤巻淳氏の所属が、違っておりました。ここに訂正させていただくと共に、関係各位にご迷惑をおかけいたしましたことを、お詫び申し上げます。

編集部

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