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特許フリーな暗号化アルゴリズムの実装を進めるGnuPG

2000年10月10日 23時42分更新

文● 植山 類

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 GNU版のPGPの実装「GnuPG (Gnu Privacy Guard)」が、新たに2つのアルゴリズムをサポートする。まずサポートされたのは、おそらくもっとも有名な暗号化アルゴリズム「RSA」。RSAはオリジナルのPGPでは初めから採用されていたアルゴリズムだったが、GnuPGはこれまで非標準のモジュールを通してしかサポートしてこなかった。これは、ソフトウェアをフリーに保つために、特許で保護されたアルゴリズムを使用しないという方針があったからだ。

 RSAの特許の有効期限が2000年9月26日に切れるのを期に、GnuPGはバージョン1.0.3でRSAをサポートした。

 もう1つサポートされたアルゴリズムは、10月2日に次世代標準暗号(AES; Advanced Encryption Standard)としてNIST(米国商務省標準技術局)が発表した「Rijndael」。

 AESは、いままで標準暗号として使用されてきたDES (Data Encryption Standard)が計算能力と暗号解読理論の進歩によって脆弱になってきたため、NISTがアルゴリズムを公募して選考を行ない決定したものだ。GnuPGでRijndaelを取り扱うためには、いまのところ実験的なモジュールを動的ロードしなくてはならないが、AESは特許で保護されていないためすぐにGnuPG本体に取り込まれるものと見られる。GnuPGはRFC 2440で定義された「OpenPGP」標準に従っており、OpenPGPではすでにAESの取り扱い方法が定義されているため、これからAESの実装を行なうほかのPGPとの互換性も問題ないだろう。

 GnuPGは、ファイルやメッセージを暗号化・署名するためのフリーソフトウェア。メールの暗号化や署名などに主に使われている。

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