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秋葉原とLinux

2000年09月26日 15時58分更新

文● テンアートニ 佐藤栄一

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 当社が秋葉原の真っ只中から、少し外れに引越ししたのは今年の4月です。「神田明神の裏手、嬬恋坂の途中」と聞いて、ピン! とくる方はかなりの秋葉原通でしょう。秋葉原の中心から離れて半年、改めて雑踏が懐かしく感じられます。今回は、秋葉原にあふれる人々に目を向け、Linuxユーザーとの共通項を探ります。

妻恋坂画像
嬬恋坂の途中、神田明神裏手から“アキバ”方面を望む。PCショップ界隈から歩いて1~2分程度だが、人通りは少なく、落ち着いた雰囲気

 秋葉原は、世界に誇る家電の街です。オーディオブームや無線ブームなど、サブカルチャー的なショップがその時代ごとに繁栄しています。現在の主役は、パソコンとゲームでしょう。時代とともに主役の商品が移り変わりますが、秋葉原に足を運ぶ人のパターンはあまり変わらないようです。私の目には、3つのタイプに分かれて見えます。

 1つ目は、安さを追求するタイプです。このタイプは、安いことに喜びを感じます。品物を安く購入するのが一番の目標です。そのために手段を選ばない、そんなタイプの人たちです。大半が、このタイプに分類されます。

 2つ目は、品揃えを求めるタイプです。秋葉原の品揃えは、日本一いや世界一です。目的の品物を探すのが面倒な人や複数の製品を同時に購入するなら秋葉原に限ります。

 3つ目は、こだわりを重視するタイプです。機能や性能を比較して、価格を吟味する。まさにこだわりの世界です。家電でも色や機能にこだわって、秋葉原に来る方も多いはずです。このような方は、事前に下見をすることが多いので、購入前に何回も秋葉原に足を運んでしまいます。

 さて、Linuxに目を転じるとどうでしょうか。Linuxの支持者は、圧倒的に「こだわりを重視する」人々です。そこには、既製品や廉価品に満足できないこだわりを感じます。もちろん、企業ユーザーでもこだわりを持って、Linuxを導入する方が増えています。

 それでは、こだわりを持った人々しか、Linuxは受け入れられないのでしょうか。答えは、“No”です。すでに数年前からブラックボックスタイプのルータやインターネットサーバでLinuxが活用されています。最近のアプライアンスサーバは、価格重視の商品として広くアピールされています。

 また、品揃え面も急速に向上しています。Linuxは今まで、何においても選択の余地が少ない状況でした。しかし、ハードやソフトのLinux対応が進むにつれて、選択や組み合わせなどソリューション的要素が深くなってきました。

 Linuxも秋葉原のように、こだわりを持つ人々だけでなく幅広いユーザーにアピールするようになってきました。当初Linuxは、Webサーバを中心としたネットワークサーバ一辺倒でした。しかし、今Linuxは、業務システムやデータセンターなど規模や用途に応じて対応可能なフェイズに突入しているのです。

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