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待望のATOK Xを、Kondara MNU/Linux 2000にインストールしよう

2000年09月09日 00時00分更新

文● 植山 類

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 9月8日、デジタルファクトリ(株)の商用ディストリビューション「Kondara MNU/Linux 2000」と、(株)ジャストシステムの待望のATOK単体発売版「ATOK X for Linux」が同日発売された。この2製品は、同時に購入すると割り引き(2つあわせて2万2600円のところ、1万9800円になる)があるうえ、お楽しみ袋をもらえるというお得なセットになっている。しかし、ATOK XのマニュアルにKondara MNU/Linux (以下Kondara)についての記述がないので、インストールに戸惑ってしまうユーザーもいることだろう(9月10日現在、ATOK Xのreadmeファイルには、ATOK Xのマニュアルに記述のないディストリビューションへのインストール方法を解説するURLが紹介されている。下記参照)。

 本記事公開当初、「マニュアルに記述のないディストリビューションへのインストール方法を解説するWebページが存在しない」旨の記述をいたしました。これは、記事作成時、ATOK X for Linuxのreadmeファイルに記述されたURL(http://www.justsystem.co.jp/atokx/csetup/)を確認できなかったためです。
 しかし読者より、正しいURLはreadmeファイルに記述されている“csetup/”ではなく、“csetup.html”ではないかとのご指摘を受けました。編集部で確認したところ、確かに解説ページ「csetup.html」が存在いたしました。
 9月10日現在のところ、正しいURLはhttp://www.justsystem.co.jp/atokx/csetup.htmlです。ご指摘いただいた読者にお礼申し上げます。

 他国語環境を破壊しない国際化を目指すKondaraは、ほかの多くのディストリビューションと違って入力メソッドのインストールがスマートにできるだけに残念だ。そこで、日刊アスキーでは極力Kondaraの「作法」に沿う形でインストールを試みた。ここで紹介する方法が必ずしもベストとは限らないと思うが、セットで購入するユーザーはぜひ参考にしていただきたい。

Kondaraの「作法」

 多くのディストリビューションは、入力クライアント“kinput2”をXと共に決め打ちで起動させる。これは、kinput2を利用するCannaなどを使っているぶんには問題ないのだが、専用クライアントを用いるATOK Xでは、スクリプトの編集が必要になって面倒だ。

 Kondaraには入力クライアントをスマートに切り替える仕組みがある。キーになるファイル群は、/etc/X11/xinit.d/xim.d/*。たとえばCannaやFreeWnnならば/etc/X11/xinit.d/xim.d/{Canna,FreeWnn-kinput2}というシェルスクリプトが在存し、その中で

  • IM_EXEC環境変数に、入力クライアントを起動するコマンドを記述
  • XMODIFIERS環境変数に、@im=kinput2を代入

という操作を行なっている。

 そして、ユーザーの設定ファイル“~/.xinit.d/xim”に、“Canna”や“FreeWnn-kinput2”と記述することで、それらのファイルを選択して、入力メソッドを切り替えることができる。つまり、Kondaraならば、各ユーザーが“~/.xinit.d/xim”を書き換えるだけで、簡単にお気に入りの入力メソッドを選べるというわけだ。

ATOK Xの設定を追加する

 では、これらの作法に則ってATOK Xをインストールしてみよう。

 まずは、ほかのRPM系ディストリビューションと同じように、ATOK XのRPMパッケージをインストールする。付属のスクリプト“install_atokx”を実行すればいいはずだ。その際、マシンと共にATOK Xサーバを起動するように設定しておこう。これらの点についてはマニュアルを参照してほしい。

 それから、次のスクリプトを“/etc/X11/xinit.d/xim.d/ATOKX”にコピーしておく(コピーにはroot権限が必要)。

NAME="ATOK/atokx_client"
IFEXISTS="/var/lock/subsys/atokx:/usr/lib/im/httx"
if [ -f "$HOME/.atokx_shift_space" ]; then
echo "*conversionOnKeys: Zenkaku_Hankaku <Shift>space" | /usr/X11R6/bin/xrdb -m
else    
echo "*conversionOnKeys: Zenkaku_Hankaku <Ctrl>space" | /usr/X11R6/bin/xrdb -m
fi
export IM_EXEC="/usr/lib/im/httx -if atok12 -lc_basiclocale ja_JP -xim htt_xbe"
export XMODIFIERS="@im=htt"
export HTT_DISABLE_STATUS_WINDOW=t
export HTT_GENERATES_KANAKEY=t
export HTT_USES_LINUX_XKEYSYM=t

 このスクリプトは、入力クライアントのコマンドをIM_EXECに代入、そのほかATOK Xに必要な環境変数を設定している。途中のif文では、ホームディレクトリに“.atokx_shift_space”というファイルがあれば、入力メソッドのon/offをShift+Spaceに割り当てている(デフォルトはCtrl+Space)。入力メソッドのon/offをユーザーごとに設定可能にした点を除いて、標準でインストールされるクライアント起動用のスクリプト“atokx_client”とほぼ同じ内容だ。

 そして最後に、いまインストールしたATOK Xを使用するようにユーザーごとの設定を行なう。一般ユーザーで次のコマンドを打つだけだ。

echo ATOKX > ~/.xinit.d/xim

 Xを再起動すれば、Ctrl+ShiftでATOKパレットが表れるはずだ。

ATOK Xで入力中の画面
gnote (デスクトップに張り付けるポストイット)にATOK Xで入力してみた。ユーザーインターフェイスがWindows版とほとんど同じで、ATOK12SEより使いやすくなった

 アンインストールには、マニュアルにある通りの方法に加えて、この手順で作成したファイルを削除すればいい。そのとき、“echo Canna > ~/.xinit.d/xim”などとして、ほかの入力メソッドを選択しておくことを忘れないようにしよう。

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