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オープンソースソフトウェア普及活動の難しさ

2000年07月26日 00時00分更新

文● 宮原 徹

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りなめしとは、Linuxを飯の種にするという意味から転じてLinuxでビジネスをすること、Linuxをビジネスにすることを言います。

 みなさん、こんにちは。宮原です。毎日暑いですね。このコラムの原稿はいつも大体日曜日の夜に書いているのですが、この週末も無茶苦茶な暑さでした。半袖半ズボンで1日表に出ていたら、日焼けしてヒリヒリします。焼き過ぎには気をつけないといけないですね。

 さて、私はしょっちゅうオープンソース系のセミナーを企画しているんですが、この2週間で大きなセミナーを2つほどやりました。

 1つは北海道初のビジネスLinuxセミナー『LinuxHokkaido 2000』をNTTコミュニケーションウェア北海道支社(http://www.nttcom.co.jp/)主催で開催。テーマはLinuxビジネス概論とXML関係で、150人以上とたいへんたくさんの方にご参加いただきました。(開催の経緯に付いては2回目の時に簡単に触れています)。
 また、昨日は日本PHPユーザ会主催の『PHPカンファレンス2000』を東京で開催しました。こちらも土曜日にもかかわらず、200人以上の方に御参加いただきました。
 どちらのセミナーでも参加されている方の熱意を感じることができ、企画する側としてもたいへん刺激となりました。

 Linuxをはじめとしたオープンソースソフトウェア(OSS)の場合、通常の商用ソフトウェアと違って、いわゆるマーケティングを行なうための明確な主体がおらず、そのソフトウェアを使いたい人は自助努力で使うというのが基本的な考えでした。しかし、やっぱりいいものがあれば教えてあげたくなるのが人情というもの。その方法はメーリングリストでの受け答えだったり、本を書いたりWebに情報を載せたりといろいろとあります。もちろんセミナーも。

 ここのところ、各種OSSのユーザー会が結成され、情報提供に、よりマンパワーがかけられるようになってきました。この動きが現在のOSSの一般化と加速的普及に大きな影響を及ぼしているともいえます。反面、ボランティア中心の活動に若干課題も見えてきています。やはりなんといってもより大きい活動を行なおうとした場合の活動コストが最大の壁です。たとえば金銭の授受が伴う場合、その厳密さが問われますが、本来的な活動コストを捻出するためにさらにそのやり取りにコストを支払うことができるほどのマンパワーを、現在の技術者中心のOSSコミュニティで期待するのは難しいものがあります。またコミュニティの中立性や独立性なども課題となります。

 これらの課題に対して、唯一の答はないと思います。ただ、OSSというせっかくの新しい考え方に、従来型の企業モデルでのやり方を当てはめていくのは何かつまらないような気がします。この夏には少しこの辺りの仕組みについて考えてみようと思っています。何か御意見があれば、ぜひメールをくださいね。

メールの宛先:tmiyahar@d-d.co.jp

宮原 徹

プロフィール

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1972年生まれ、神奈川県平塚市出身。中央大学法学部卒。今年の2月末に日本オラクル(株)を退社し、現在は(株)デジタルデザイン(http://www.d-d.co.jp/)東京支社長と(株)アクアリウムコンピューター(http://www.aqua-computer.com/)代表取締役社長を兼任。マイクロ・サーバによるビジネスソリューションを追求するほか、Project BLUE(http://www.blue.gr.jp/)を中心に、日本国内でのビジネス用途でのLinux利用促進のため、日夜活動を行なっている。いったいいつ寝るんだ、社長!?(笑)

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