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NetWorld+Interop 2000 Tokyo TechSpots@Interop~i-Mobile Solutionコーナーレポート 大規模システム編

携帯端末ソリューションの今

2000年06月16日 00時00分更新

文● 吉川

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携帯電話は、今後PCと並んでもっとも「メジャーなインターネット端末」となる。こうした背景から、従来のWebアプリケーションを携帯電話端末用のコンテンツに変換するサーバ製品が続々と登場してきている。そこで当コーナーでは、こうしたサーバ側の携帯電話用ソフトウェアを取り上げ、そのテクノロジーや事例を紹介していく。第1回目の今回は、先日開催されたNetWorld+Interop 2000 Tokyoの「TechSpots@Interop~i-Mobile Solution~」コーナーに展示されていた携帯電話用ソフトウェアを一挙に紹介する。
会場タイトル写真

日本アイ・ビー・エム

IBMブース写真
日本アイ・ビー・エムのブース

 日本アイ・ビー・エム(株)では、HTMLのコンテンツを、WAPなどの携帯用コンテンツに変換するソフトウェア「Websphere Transcoding Publisher」を展示。同製品は、HTMLの簡略化や、XMLからHTML/WMLへの変換、GIFからJPEGへの変換などを行なうことができる。さらに、WorkPadやWindowsCEマシンなどに最適化したHTMLを生成することも可能だ。

cMagic for WTP v1.0
(株)プロファイブの「cMagic for WTP v1.0」。「Websphere Transcoding Publisher」は、WAPやWorkPadには対応しているが、国内の携帯電話には対応していなかった。そこで登場したのがこの製品だ。既存コンテンツを、iモード、EZアクセス、EZ Web、J-Sky Web用に変更することが可能。今後は「Websphere Transcoding Publisher」も対応予定とのこと

(株)日立インフォメーションテクノロジー

 (株)日立インフォメーションテクノロジーは、日本アイ・ビー・エムの、JavaによるWebアプリケーションサーバ「Websphere Application Server」上で動作する「ケータイサーバー for DB2」を出展。ワンタイムパスワードなどを使った認証をサポートしてセキュリティを確保し、携帯電話からRDBMSへの接続を実現する。iモード、WAPに対応。今後はJ-Sky Webにも対応予定となっている。

 特徴は、Webブラウザを使ってコンテンツ(携帯電話に表示するRDBMS接続用クライアント)を作成することができる点だ。基本的には、コンテンツ作製者がSQLを知らなくてもよい。階層検索なども可能だ。

ケータイサーバー for DB2設定画面
ケータイサーバー for DB2の設定画面。必要事項を記入していくだけで、携帯電話とRDBMSを接続することができる

 ケータイサーバーを使ったシステムとして、携帯電話に画像を送信する「ケータイサーバー for LIVE!」という製品も参考出展されていた。これは、中央電子(株)のインターネットライブカメラ「ネットワーク対応静止画像蓄積装置 インターネットView ND-VW02(以下ND-VW02)」とケータイサーバー for DB2を組み合わせたもの。ND-VW02で蓄積した画像を、iモードから見ることができる。画像が撮影された日時などのプロパティを見ることも可能。渋滞情報や警備といった面での利用が考えられる。

for LIVE!の画面
ケータイサーバー for LIVE!画面。ゴチャゴチャした風景なのに、意外とクリアに表示されているのがわかる
ND-VW02写真
中央電子(株)のインターネットライブカメラ「ネットワーク対応静止画像蓄積装置 インターネットView ND-VW02(以下ND-VW02)」

 ケータイサーバーシリーズは、今後OracleやMicrosoft SQL Serverといった、他のRDBMS製品にも対応していく予定だという。

日本オラクル

オラクルブース写真

 日本オラクル(株)では、既存のWebサイトのHTMLを解析し、携帯端末用にコンテンツを生成する「Portal-to-Go Release 1.0.2」を展示。WAP、iモード、J-Sky Webなどをサポートする。データソースとしてはHTMLだけではなく、XMLや業務用のデータベースなどを使うことも可能。

 特徴としては、Webページの任意の部分のみをカスタマイズして携帯用コンテンツとして利用できる点が挙げられる。たとえば、検索エンジンのキーワード入力ボックスのみを「切り出し」て、携帯用コンテンツとして利用することができる。また、エージェント機能を提供する。たとえば既存のニュースサイトにPortal-to-Goを使えば、ユーザーが設定したキーワードを含んだ文字列が公開されたとたんに、ユーザーにメールを送ることが可能となる。

Portal-to-Go Release 1.0.2の仕組み

 Portal-to-Goは「アダプタ」、「データ・プロセッシング・エンジン」、「トランスフォーマ」と、大きく3つの部分が存在する。

  • アダプタ……XMLや企業内のデータベース、既存のWebサイトといったデータソースへの接続コンポーネント。データソースごとにカスタマイズが可能
  • データ・プロセッシング・エンジン……Portal-to-Goの中心部分。アダプタが取得した情報をXMLとしてシングルソース化する
  • トランスフォーマ……各携帯端末用にコンテンツを生成するコンポーネント。トランスフォーマをカスタマイズすることによって、さまざまなデバイスに対応することが可能になる
Portal-to-Goを使った結果写真
Portal-to-Goを使ったコンテンツ

 イントラネットなどの社内コンテンツを携帯端末用にして社外活動時の戦力強化を図ろうという製品が多い中、Portal-to-Goは、大手のWebサイトが自分のコンテンツを携帯端末用に提供したいときに使うといった、コンシューマ市場向けのアプローチもとっている。海外では、スウェーデンの電話会社Teliaや、ベルギーのモバイルバンクKBC Bankなどでの導入実績がある。


 携帯電話用のサーバ製品は、iモードの普及もあって、かなり盛況といった状態だった。また、XMLを使った製品が多かったのもひとつの特徴といえるだろう。さまざまなデータソースをXMLに変換してシングルソース化、それを各携帯電話用のコンテンツに生成しなおして配信するという仕組みにはXMLが最適な選択肢であることは疑いの余地がない。

 また、京セラコミュニケーションシステムのようにECに注力した製品や、日本エリクソンの広告配信システムなど、コンシューマ向けビジネス用ソリューションも登場してきている。パーソナルコンピュータよりも、遙かに多くのユーザーが存在する携帯電話だけに、市場の成長は引き続き激しいものになるだろう。次回は、グループウェアを携帯電話に対応させた製品を見ていく。

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