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【Do Linux!に迫る】(その4) 「Do Linux!」プロジェクト エンジニア募集説明会開催

2000年06月03日 00時00分更新

文● 吉川大郎

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Do Linux!のロゴ画像
Do Linux!ロゴ

5月24日午後2時から、「Do Linux!プロジェクト説明会」が、東京都渋谷区のパソナテック本社ビル内で行なわれた。平日の昼間にもかかわらず、プロジェクト参加枠10名に対し約30名ほどの参加者となっていた。



説明会会場写真

冒頭挨拶

中川氏写真
パソナテック 取締役 営業企画室長 中川弘夫氏

 説明会冒頭では、パソナテック 取締役 営業企画室長 中川弘夫氏が挨拶を行なった。中川氏は、Linuxの需要が増えているにも関わらずエンジニアが不足している状況に触れたあと、先日IBMがLinuxサポートを大幅強化したニュースを挙げ、Linuxが今後主流になっていくこと、そしてパソナテックとしては、Linux技術者を養成する必要性があることを語った。

 その後「確実且つ安全な方法でキャリアを上げていただけると確信しています。ぜひこのプログラム制度を活用していただきたいと思います」と挨拶を締めくくった。

Red HatとRHCE

松浦氏写真
レッドハット サービスディレクター 松浦徹氏

 次に、Do Linux!のメニューでは一番最初に受講することになる「RHCE(Red Hat Linux Red Hat Certified Engineer)」についての説明を、レッドハット(株)スタッフが行なった。まず最初にレッドハット サービスディレクター 松浦徹氏が登場。RHCE取得者が4月で世界中で1000人、国内で100人存在していることをはじめ、先ほど語られたIBMの件に触れた。それによると、米Red HatがワールドワイドのトレーニングパートナーとしてIBMと提携(国内での展開は未定)、今後世界中のIBMエンジニアは、RHCEを使ってLinuxの学習をしていく計画だという。日本アイ・ビー・エムでも、Linuxエンジニア拡充を目指していくわけだが、これにはすべてRHCEが使われるとのことだ。RHCEは、今年中に国内では1000人、世界中で3000人になると予想している。さらに、Red Hat Linuxのバージョンアップにあわせて教材もすぐにアップデートすることや、テストが実技試験であることを挙げ、「最先端で、欧米と同じトレーニングにより、明日からでもネットワークマネージャになれる、世界中で認められる資格であり、ぜひ挑戦していただければと思います。またそれをきっかけにビジネスを展開していただければと思います」と語った。さいごに、レッドハットと各社との提携を挙げ、参加社が資格を取ったあとには、さまざまなビジネスが発生しているであろうことを述べて、挨拶を締めくくった。



染谷氏写真
レッドハット プロダクトマネージャー 染谷邦裕氏

 松浦氏の話が終わると、Linux関連のイベントで数々の講演を行なうレッドハット プロダクトマネージャー 染谷邦裕氏が登場。「Linuxエンジニアの市場価値-RHCE」という講演を行なった。染谷氏は、「我々はディストリビュータというよりも、OSベンダー」であるという。その意味は、Red Hatはさまざまなソフトウェアを組み合わせてディストリビューションを作るのではなく、コミュニティーと協力して、現在Linuxにはないテクノロジー(エンタープライズ系機能や組み込み系機能)を開発/提供していくという姿勢をもっているから、というものである。

 また、Linuxの普及度についても、事例紹介がまだまだ十分とはいえず、実績として認知されていないとしながらも、全米では1998年度に、すでに75万台のLinuxサーバが稼動している点や、国内でも急速にサーバ用途でLinux市場が立ち上がり、ISP(Internet Service Provider)への導入が進んでおり、数万台が稼動していると考えていい点を述べた。レッドハットが提携しているSI企業からも、需要が急激に増え、Windows NTの代替としてLinuxが提案される例が多いという話を聞くそうだ。今後は、RDBMSと組み合わせた使用が進むだろうという。

 RHCEについては、RHCEが自社(米Red Hat)の技術者を育成するために始まったという経緯や、Linux関連のトレーニングとしてはもっとも歴史が古い点などに触れた。Red Hatの社員は、入社後3カ月以内にRHCEを取得しなければならないそうだ。また、3回不合格だと退職になってしまうという。現在国内のRHCEは、250名受験して、100名強の合格者が出ているとのことだ。RHCEは資格取得者の数が少ないのでバリューもある。さらに、「難しい」資格であるという認識も広まりつつあり、技術的に保証があると見なされ始めているので、RHCEという資格を持っている人は就職しやすいという。

 最後に、Linux業界に必要とされている人材についての紹介があった。

システムエンジニア
Linuxを理解し、Linuxがどのようなシステムに適しているかを把握したうえで、顧客に提案できる人
システムインテグレータ
ネットワークの管理ができる人間。Windows NTに比べると、ネットワークを構築/管理している人の技術が問われるのがLinuxだという。特にセキュリティは技術者の腕の見せどころで、これができるということは、大きな付加価値になるとのことだ
プログラム技術者
デバイスドライバ、ディストリビューションの開発など。現在は、国際化プログラミングができる人材の需要が、特に高くなっているという

エンジニアとしてのキャリアアップを

乾氏写真
パソナテック Linuxプロジェクトマネージャー 乾幸一氏

 説明会最後に登場したのは、「Do Linux!に迫る」ではおなじみの、パソナテック Linuxプロジェクトマネージャー 乾幸一氏だ。乾氏はまず、Do Linux!設立の経緯やプログラムの流れについて説明。メッセージとして、「Linuxは今後伸びてくる市場であり、エンジニアとしてのキャリアアップ、Linuxビジネスの先駆者として活躍していただきたい」と語り、説明会を終えた。


 ビジネス系イベントであるLinuxWorld Expo/Tokyo 2000の盛況ぶりを見ても分かるように、Linuxマーケットの形成はもはや疑う余地はない。「Linux」という新しいITマーケットに参入するツールとして、Do Linux!を利用するのも、ひとつの方法だろう。

 なおこの説明会は、6月7日にも行なわれる予定だ。



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