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Linuxによるシステムインテグレータの変貌 その2

2000年03月07日 00時00分更新

文● テンアートニ 佐藤栄一

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 システムインテグレータは、製品の性格と顧客の傾向によってスタイルが大きく変わります。前回から、「Red Hat Linux」を取扱うことによるシステムインテグレータのスタイルの変化を考えています。大企業がLinuxを導入する場合には、自社の技術力で対応する範囲が大きくなります。そのため、必要な場面だけインテグレータを活用するスタイルになります。そのような顧客には、サポートビジネスが有効でした。2回目となる今回は、中小および個人企業や商店などを相手にしているインテグレータのスタイルを考えます。

 ある程度のシステム部門を持っている中小企業では、現行システムの運用に精一杯で、自分たちでシステムを設計する人材も時間も乏しいのが現実です。そのため、「メンバー数100人でインターネット接続とファイル共有とプリンタ共有したい」という感じで、望む機能と現状が提示されます。インテグレータは、要望に沿ってシステムを検討・提案します。ある程度、技術的に裏付けのある要求が出されるので、大企業より多少頭を悩ますだけですみます。これは、中規模企業に限らず、スキルの低いシステム部門を持った大企業も同様です。また、システム部門のスキルが高くても、管理(支配)の及ばない部門(地方支店や工場なども含む)は、同様にインテグレータに頼る必要があります。

 もっと小さい個人企業や商店などでは、システム部門など存在するわけがありません。「インターネットに接続したい」という漠然とした要望から、インテグレータが導入環境を調査する必要があります。そこから、提案を立案することになります。技術的に裏付けのない要望も数多く出ます。このような案件では、導入のみならず、運用やサポートまでインテグレータが面倒を見なければなりません。「ゆりかごから墓場まで」と、いったところです。

 このように中小企業では、大企業に比べてインテグレータに依存する度合いが多くなります。さらに個人企業や商店などでは、より多くの範囲をインテグレータに依存しています。

 中小および個人企業や商店などでは、自力の運用も難しいはずです。そのため、インテグレータが運用や保守をサポートする必要性が大きくなります。Linuxは、安定した運用が可能なので、ユーザーによってサポートの頻度に大きな差が出るでしょう。そのため、必要なユーザーのみが料金を支払うインシデントタイプのサポートが有効です。勿論、中小および個人企業や商店は、自社内にサーバを持たず、運用を完全にアウトソーシングすることも可能です。その場合には、ホスティングサービスを提供すればいいのです。さらに、新しいサービスとしてコンテンツ作成作業も考えられます。Webサイトのできばえとコンテンツの鮮度で、Webサイトのアクセスの頻度が決まります。ASPとあわせて、新たな事業となる可能性を秘めています。

 このように、中小および個人企業や商店では、技術力の不足を補うためにも多くのサポートが必要です。Linuxなどオープンソースによるシステム提案では、ソフトウエアで利益が取れないので、サポートビジネスを推進するのが一番です。

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