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レッドハット平野代表取締役に聞くサポート戦略

1999年11月11日 00時00分更新

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 11月12日、レッドハット(株)よりRed Hat Linux 6.1 日本語版が発売される。また、11月8日には企業向けサポートプログラムが発表されている。日刊アスキーでは代表取締役の平野正信氏に、サポート戦略およびレッドハットの現在の状況について、インタビューを行なった。

平野正信氏
できたての“レッドハット”をかぶる代表取締役の平野正信氏

 なお、米国と日本の会社名が同じであるため、文中では米国の場合はRed Hat、日本法人の場合はレッドハットと記している。

[日刊アスキー] それでは、このたび発表された、サポートについてのお話からお伺いしたいのですが。
[平野氏] 今までにも、日本には色々なディストリビューションがあったわけですが、主にリテールのほうが、比較的注目を浴びていたと思います。実際、企業でもLinuxは多少使われているのですが、あまり、みなさん表に出たがらない。実際には使っているんですけれども、試験的に使っているというレベルもあるでしょう。また、サポートの問題はどうなっているかという話もあり、めんどうなことになったりします。そういうことで、けっこう困っているケースというのはすでにありますね。
 そういう意味でも、企業向けのサポートというのはタイミングとして、そろそろあっていいのではないか。
 もう1つは、世界的に見てLinuxが使われ始めたといっても、実際にはサーバ用途といっても、1部のアプリケーションしかきちんとしたものがない。
 Linux全体でビジネスとして考えた場合に、やはり1番重要なのはサポートだというのがRed Hatのストラテジーです。
[日刊アスキー] パッケージの販売よりも、サポートを重視されるということになるのでしょうか。
[平野氏] そういうことではありません。
 パッケージの販売や、メディアにつけて売ることは、マーケティング上でも重要なことです。それに、実際のLinuxの浸透というのはたいした割合ではありません。まだまだいくらでも使っていただけるはずです。そういう意味でもリテールのもまだまだ伸びるはずです。
[日刊アスキー] 現在のところサポートは企業ユーザー向けということでしたけれど、個人ユーザー向けは今のままいくのでしょうか。
[平野氏] ただで手に入るものを、なぜ値段をつけて売るのか、ということです。
 Red Hatでも以前はサポートなしのパッケージを売っていました。ところが、6.1からはすべてサポート付きで売っています。ソフトウェアだけが欲しいのであればWebからダウンロードできます。パッケージを買った場合はきちんと動くまでは保証します。ですから、リテールに関してもやはりサポートということを重要視しています。
 さらに、実はレッドハットの場合、ショップ向けに別のサポート体制を敷いています。ショップ向けのパッケージがあって、それでユーザー登録をした場合は、ショップの方がお客様からの質問を受けた場合、その場で私どもに電話をいただき回答を差し上げることができるような体制も作りました。
[日刊アスキー] では、具体的なサポート内容についてお伺いします。「Linux」といった場合に、その範囲は人によって違ってくると思います。カーネルだけだとか、パッケージそのもの、すなわちApacheまでも含むといった場合もあるでしょう。レッドハットでサポートする範囲は、どこまでになりますか。
[平野氏] 箱の中にはCD-ROMが3枚入っています。1枚目はLinuxのバイナリCD-ROM、2枚目はLinuxのソースCD-ROM、そして3枚目はコマーシャルCD-ROMと呼ばれる、商用パッケージが入っているものです。レッドハットでは、1枚目と2枚目に入っているものに対してサポートします。
 基本的に、オープンソースで提供されるものは、それがアプリケーションであってもサポートしていこうということです。
 さらに、そこが企業向けの販売とも関係してきます。企業の場合、真剣に使うわけなので、「サポートする」と言った場合、「いや、うちはLinux本体しかやりません」というわけにはいきません。たとえば、Oracleを一緒に使った場合は、日本オラクルさんがしっかりしているから、なんとかなります。そうでない部分は、我々がやっていかなければならないのです。
 当然、レッドハットだけでは難しい部分もありますが、日本ではそういったノウハウのある、伝統的にUNIXをやってきた会社があります。そういった方々に手伝っていただきながら、一緒にやっていこうということで、企業サポートについての発表をしました。レッドハットが行なうのはもちろん、発表した6社とも協同で行なうということです。
 ですから、6社のうち何社かからは、レッドハットのサポートセンターにサポート人員を派遣していただいています。各社得意分野がありますから、うまく分担してみんなでサポートしていこうということです。
[日刊アスキー] 現在、その6社さんからいらっしゃっている方も含めてサポートは何人体制になっているのでしょうか。
[平野氏] 一概にはいえないのですが、電話回線は5本あります。そのバックエンドに「レッドハット認定エンジニア(RHCE: Red Hat Certified Engineer)」が最低でも3人いるようにします。さらにそのうしろ、いわゆる開発に近い部分ですが、各社から来ていただいている方を含めて5、6人は常時います。
 レッドハットが表に出ていますが、実際はまずSIさんからのニーズがあるんです。「どこでもいいから、きちんとバックエンドでサポートをやると言ってほしい」というような。そこでレッドハットが名乗りをあげたというところですね。
[日刊アスキー] RHCEが中心となってサポートするということですが、日本でもRHCEを取ることができるのですか。
[平野氏] 今までは米国でしか取ることができなかったのですが、先日、日本のレッドハットの者が“RHCEを認定する”資格を取りました。彼が、トレーナーになって、RHCEを認定することができます。そしてSI向けですが、第1回目のトレーニングを11月中旬に開始します。
 そして、これはサポート上で重要な意味を持つのですが、「Red Hat Linuxでやりたい」と言ったお客様に対して、RHCEであればあるレベルの質問までは答えることができる、ということが保証できます。リセラーにはただ売るだけではなく、「RHCEを取ったサポートできる人間がいる」という前提で売っていただけます。これにより一定のレベルのサポートが保証できます。

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