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業務システムのオープンソース「セルベッサ」を知っていますか

1999年11月01日 00時00分更新

文● テンアートニ 佐藤栄一

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 自画自賛となりますが、当社が(株)ニュートーキヨー様と共同開発した業務システム「セルベッサ」がオープンソースとして公開されています。皆さんご存知ですか?

 「セルベッサ」は、レストランチェーンの受発注業務システムで、Linuxサーバをベースに、Java Servletにて構築しています。本社には、2台のLinuxサーバが稼動しており、1台は、Oracle8を搭載してデータベースサーバとなっています。もう1台は、Apacheを搭載してWebサーバとなっており、JavaのServletによってユーザーインターフェイス生成を担当します。

 各店舗からの発注データを入力するクライアント画面は、Windows3.1マシン上のWebブラウザのみで構成されています。Webサーバ側のJava Servletが、その店に必要な食材リストをデータベースから作成し、各店舗のクライアントは、Webサーバ側のJava Servletが作成したコンテンツに対してWebブラウザで表示・入力を行ないます。また、仕入先へのデータ受け渡しもXMLコンテンツをWebブラウザで表示するだけです。このように「セルベッサ」は、時流の先端を実現したシステムとして注目を集めています。

 しかし、「セルベッサ」は、システム担当者のこれまでの経験と苦労が、実現させたシステムだといっても過言ではありません。取材でもあまり取り上げられませんので、ここで披露します。システム担当者は、「セルベッサ」の導入以前に、各店舗のクライアント側環境を安定させるためにさまざまな努力をしています。

 各店舗にイントラネット用端末としてクライアント機が導入されたのが、4年も前です。スペース効率を考慮して、ラップトップ型のマシンが採用されていました。486DX4-75MHz のCPUが、メインメモリ24MB、ハードディスク340MBといったスペックでWindows3.1を動作させます。Webブラウザは、Netscape Navigator1.1で、導入当時のまま使用されています。この環境は、全店舗共通です。

 サポートする立場からすると、電源スイッチの位置が違っても説明するのに苦労します。よって、ハードウエアは機種どころかモデルも同じ物を使用することになります。業務システムが問題無く稼動しているのに、メリットも分からないOSアップグレードは行なわない。よって、ハードウエアの拡張もいらない。現在でも故障や新規開店で、このマシンが必要になります。そのときのために秋葉原あたりで、同じ機種の中古が出ると購入しているそうです。新品で購入したマシンは、あと少しで原価償却が終了します。このような環境で「セルベッサ」は動作するようになっています。

 そしてもう1つのメリットは、新たなシステム導入に各店舗や仕入先に出向かなくても運用できる点です。サーバのURLを連絡するだけで運用がスタートできる、気軽なシステムです。

このように現場を維持管理する努力が「セルベッサ」のコンセプトを形作っています。オールリプレイスやバージョンアップが、ユーザーにとって利便性やコストパフォーマンスを実現するかどうか、答は明らかです。

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