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『入門bash』

1999年09月28日 00時40分更新

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『入門bash』

著者 Cameron Newham, Bill Rosenblatt

訳者 遠藤美代子

オライリー・ジャパン、ISBN 4-900900-78-8、3200円

 Linuxを始めたら、シェルの勉強は欠かせません。Linuxユーザの生活環境であるシェルの知識の多寡は、Linuxの利用水準にそのまま反映します。シェルの種類は多数ありますが、Linuxの標準シェルであるbashは、Linuxを始めた以上常識として知っておくべきです。

 私がbashを始めたのは今から7年位前だったと思います。「これからはbashだよ」という人(現インターネット証券マンとして著名)の薦めで手を出してしまってからはずっとbashを使い続けてきました。しかし、Bourneシェルが便利になったようなものということで何となく使っていましたが、この機会に勉強し直そうということで読破してみました。

 本書は、大きく3つの部分に分かれています。最初が入門者用のbashの基本的な使い方、中盤がシェルプログラミングで、このあたりまでが入門的な内容です。終盤は、bash自身を利用してbashのプログラムをデバッグするデバッガの説明に力が入っています。デバッガを作って見せるというのは良くあるパターンですが、普通に使うには中盤程度まで読めば十分でしょう。

 執筆や翻訳に関してはそれほど特徴もないし、編集、レイアウトはオライリー本の標準的なパターンです。DTPで作った本のようですが、コンピュータの本という意識があまりない人が作業したと思われる個所が随所に現われていたのが本書の最大の汚点でしょう。

 シェルの解説本では、空白一つを揺るがせにできません。DTPソフトの都合か、 ~ と / の間に空白が入っているようにしか見えなかったり、シングルクォート2個('')とダブルクォート(")の区別が困難だったり、{ や } が | と同じように見えるような印刷をされては、編集者の知識や経験を疑いたくなります。シェルを利用している人だったら当惑することにさえ目が行かないのは不思議です。空白の有無を間違えるとファイルを全部消すこともあることくらいは理解している人に編集してもらいたい。見た目の美しさより、決して誤解させない編集を心がけて欲しい。コンピュータ専門書全般にいえることですが、シェルの本では特に重要です。

 久しぶりにシェルの本を読んだので、シェルも進歩し続けていることを知りました。数年に一度くらいはシェルの本を通読するのも価値があるようです。

藤原博文

プロフィール

藤原博文

パズルを解くためにTK-80などに手を出したが、BASICの低速性が気に入らず、ついコンパイラを作ってしまった。それ以降はソフトウェアの世界から足抜けできなくなり、逆にパズルをする暇がなくてストレスが溜っている。UNIXはVAXの頃から使い始めすでに20年近く、Linuxは4年前より日常的に利用している。ホームページはhttp://www.pro.or.jp/~fuji/

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