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Linuxの国際化を目的とした「Linux Internationalization Initiative」が設立

1999年09月14日 20時04分更新

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 Linuxの国際化(internationalization)を目的とした国際的な組織「Linux Internationalization Initiative(略称: Li18nux(※1))」が設立された。

 当組織は、ボランティア団体として構成される。活動の目的は、ソフトウェアに国際的なポータビリティと互換性をもたせること。具体的には、ベースとなるロケールシステムを実用的な形で実装することはもちろん、X Windows System、Webブラウザもその対象となる。これらの作業はディストリビューションに依存しない形で進められる。

 設立の背景としては、「Linuxは現在、必要とされる地域において言語等の地域化(localization)されている。しかし、特定の環境のための変更は、各地域における作業の重複、相容れない変更が発生するために、無駄なコストが発生する。また、各地域の間での相互運用性が低いこと、本質的に複数の地域に対応できないという面がある。現在のように、世界的にLinuxが普及し、特定の環境に依存することのないソフトウェアが求められている状況では、本質的な国際化が必須である」としている。

 当組織の活動内容としては、以下のようなものがあげられている。

  • 各地で単独で行なわれている各国語化の作業を集約する。
  • 国際化のための議論をするフォーラムの提供、プロジェクト間の調整をする。
  • 国際化のAPIの仕様書をまとめる。

 同組織の運営委員会は地域議長、サブワーキンググループのリーダー、商用、非商用に関わらず各ディストリビューションの代表者、「Linux Standard Base(※2)」の代表者から構成される。地域議長で現在決定しているのは、アメリカのHideki Hiura氏と、アジア、パシフィックのAkio Kido氏の2人である。また、隔月で米サンフランシスコ近辺にてミーティングをもち、年1回は米国外でのミーティングを行ない、Linuxおよび国際化関連のイベントにも参加していく、とのこと。

 なお、「他のさまざまな規格等の標準化を進めている機関とも、連絡を取り合う必要がある」とし、以下の機関を候補としてあげている。

  • Linux Standard Base
  • Linuxの各国語化を進めている各国のLinuxユーザーグループ
  • Unicode consortium
  • World Wide Web Consortium
  • ISO/IEC JTC1/SC22/WG20(国際化関連)
  • X.org

 現在さまざまなLinux関係団体に、メールによる呼びかけが行なわれている。なお、この組織はLinuxの国際化に貢献しようと考えていれば、誰でも参加することができ、登録フォームはWeb上におかれることになっている。

※1 Li18nux: 「Internationalization」は、最初のiと最後のn、そしてiとnの間に18文字があることから、i18nと略される。Linuxとi18nをかけあわせて「Li18nux」となったようだ。

※2 Linux Standard Base: 増加するLinuxのディストリビューションと、そのソフトウェアの互換性を維持する目的で、Linuxの標準を定めるために設立された団体。

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