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翔泳社、“Linux Business Solution Seminar”を開催

1999年06月23日 00時00分更新

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(株)翔泳社は23日、東京・青山ダイヤモンドホールにて“Linux Business Solution Seminar”を開催した。これはLinuxの導入や、Linuxに関するビジネスを検討している企業担当者を対象として行われたもの。“ビジネスはLinuxでどう変わるか”をテーマに、3つの基調講演12のコンファレンス、出展企業15社による展示会が開催された。2813人が来場したという。

有料コンファレンス(全プログラム参加可能で1万8000円)は、定員400名でいっぱいになった
有料コンファレンス(全プログラム参加可能で1万8000円)は、定員400名でいっぱいになった

午前中の基調講演では、日本オラクル(株)代表取締役社長の佐野力氏、ロータス(株)代表取締役の安田誠氏、(株)ジャストシステム代表取締役の浮川和宣氏の3氏によるスピーチが実施された。

佐野社長は開口1番「不純なものはWindows」
佐野社長は開口1番「不純なものはWindows」

まず、オラクルの佐野社長が登壇。「20世紀はビジネス優先という流れであった。だがこれからは、ボランティアを指針としたもの、例えば、やっていて生きがいがあるとか、楽しいといった気持ちが優先されていくのではないか。こうした流れが、最先端の技術者集団であるLinuxコミュニティの中に現れてきたのは喜ぶべきことだ」と述べた。また同社のOracle製品については、「Windows NTとLinuxでOracle 8の動作検証をしたところ、LinuxはNTに比べて2~5倍のパフォーマンスの差が出た。安定性も、LinuxはWindowsと比べ物にならないほど上、しかも安い」と述べ、最後に「マイクロソフト“ゼロ”の世界で、インターネットコンピューティングを実現する」と笑いながら締めくくった。

「Linuxは何よりも信頼性の面で顧客からの評価が高い」とロータス安田社長
「Linuxは何よりも信頼性の面で顧客からの評価が高い」とロータス安田社長

続いて、ロータスの安田社長は、「今年1月にアメリカで開催されたLotusphere99で初めて、Linux版Dominoの発表をした。それがようやく現実になりつつある。というのも、本日までアメリカで開催中のLotus DevCon99で、アルファ版が公開されているから。Linux版Dominoは日本でもアメリカでの出荷に続いて製品化する予定」と述べた。また、「Linuxの登場で、これまでWindows時代にあった“OSのみが価値を持つ”という風潮が減少していくだろう。ハードウェアとOSの境がなくなるはず。例えば、スイッチを入れればすぐ使える、家電化したブラックボックス、アプライアンス的な製品が今後増えていくのではないか」とした。

「アプリケーション開発は、最終的にはJavaで書く方向で」と浮川社長
「アプリケーション開発は、最終的にはJavaで書く方向で」と浮川社長

最後に、今月Linux版ATOKの製品化を発表したことで注目を集めているジャストシステムの浮川社長が登場。「私たちはこれまでの資産として、かな漢字変換システムを持っている。これは、多くの人たちに迎え入れられるものだと思っている」とした。また「Linuxと同様に力を入れているのがJava。最終的には、モジュールを共通化できるJavaで書いたアプリケーション開発の方向に転換したい」と述べた。

基調講演の後、プレス向けに3者共同記者会見の場が設けられた。これは主に質疑応答となり、「2、3年後先のLinuxモデルは?」、「LinuxをWindows市場にどう食い込ませるか」、「コミュニティーとの協力については?」などといった質問が出された。

今後のLinuxビジネスについては、佐野社長は、「オラクルでいえば、UNIXとNTの売上げは現在2:1。これが3年先、NTの割合は現在の10パーセント以下となるだろう。予測することに意味はない」、安田社長は、「サーバー市場での可能性が高いだろう。ロータスでいえば、金額的に10パーセント程度か」、浮川社長は、「Linux単品としてではなく、Java上での開発として新しいビジネススタイルを確立したい」とした。

また、コミュニティーとの関係について安田社長は、「Linux協会がエンドユーザー/デベロッパー側、富士ソフトABCが設立のLinuxコンソーシアムがビジネス側という役割となるのではないか」とコメントした。また、佐野社長は、Linuxコミュニティーについて、「Windowsの開発と違って、自由な独創的な考え方が生まれる場として、Linuxコミュニティーは非常に重要なもの」とした

4人がっちり握手。4氏とも、本日来場者に配られたペンギン柄の黄色のネクタイを締めている(左から翔泳社の速水社長、オラクルの佐野社長、ジャストシステムの浮川社長、ロータスの安社長)
4人がっちり握手。4氏とも、本日来場者に配られたペンギン柄の黄色のネクタイを締めている(左から翔泳社の速水社長、オラクルの佐野社長、ジャストシステムの浮川社長、ロータスの安社長)

午後も引き続きコンファレンスが開催され、Linuxコンソーシアムを設立した富士ソフトABC(株)の原田哲夫氏による“UNIXの中のLinux”や、(株)ネットワーク応用通信研究所、Linux協会理事長の生越昌己氏による“新時代の基幹系システムとLinux”など、ビジネス関連をテーマとしたセッションが行なわれた。

全体的には、スーツ姿のビジネスマンが圧倒的に多く、セミナー会場や出展ブースなどでは、ブース担当者と企業担当者とが会話する風景が多く見られた。

少数ながら展示ブースも設置。オムロンソフトウェア、コンパックなど15社が出展した
少数ながら展示ブースも設置。オムロンソフトウェア、コンパックなど15社が出展した

ぷらっとほーむのブースでは、18日に発売された『Vine Linux 1.1CR』Official製品版が販売されていた。購入者には、同社が特注したオリジナルワインもプレゼントされていた
ぷらっとほーむのブースでは、18日に発売された『Vine Linux 1.1CR』Official製品版が販売されていた。購入者には、同社が特注したオリジナルワインもプレゼントされていた

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