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会社引っ越し ブレードで仮想化大作戦 第5回

~ ブレード&仮想化のホンネ ~ 今度はストレージが欲しくなっちゃった!

ブレード&仮想化2 設定編「各モジュールに電流が」

2009年02月25日 08時00分更新

文● 志村 拓

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ブレードサーバー「IBM BladeCenter S」一式を丸ごとお借りし、遂にIBM BladeCenter S SAS RAIDコントローラー・モジュールを使ったHDDのRAID化と複数ブレードでの共有化作戦が始まった。

まずは環境を構築だ。まずはハードウェアのビルドアップから、「IBM Storage Configuration Manager」と呼ばれる専用管理ソフトの使い方、さらにIBM BladeCenter S SAS RAIDコントローラー・モジュールの設定と、そのすべてを余すところなくお伝えする! 

テトリスの要領でビルドアップ

IBM BladeCenter S SAS RAIDコントローラー・モジュール

IBM BladeCenter S SAS RAIDコントローラー・モジュールは、背面のI/Oモジュールスロットの3番、4番に差し込む

 筆者の期待のIBM BladeCenter S SAS RAIDコントローラー・モジュールは、従来のSAS接続モジュールと変わらず、ただの四角い金属製のハコである。この中にSASスイッチに加えRAIDコントローラーが実装されているハズだが、その外観からは確認できない。このモジュールは、自社のBladeCenter Sで使用中のSAS接続モジュールと同じ要領で、背面のI/Oモジュールスロットの3番、4番に差し込む。

 唯一違いがあるとすれば、バッテリーバックアップユニットと呼ばれるIBM BladeCenter S SAS RAIDコントローラー・モジュールを一回り小さくした筐体がセットになっているところだろう。「こんなモノ入るとこあったっけ?」とBladeCenter Sがマウントされたラックの前後をウロウロする。どうやらシャーシ前面のI/OモジュールのDVD-ROMドライブの横の隠し蓋とサイズが符合しそう。ほとんど気分はテトリスだ。

 ちなみに、このバッテリーバックアップユニットは、IBM BladeCenter S SAS RAIDコントローラー・モジュール内のRAIDコントローラーのストレージ・キャッシュを最小72時間バックアップする。万が一電源障害(といっても、BladeCenter S側にも4台も電源モジュールが付いているので、強いて言えば、供給電源側の問題だろうが)が発生した場合でも、丸3日以内に復旧されれば、RAID構成が壊れることはない。

 RAIDの再構成には、非常に多くの時間を要するので、そうでなくとも障害が発生して混乱している状況下において、RAID再構成の心配や、イライラと待たずに、純粋にブレード上で動いていたOSの復旧から作業を開始できることは、有事の際を想定すれば、非常に心強い。

 さて、他に部品はないので、これで物理的なセッティングは完了だ。モジュールを4個シャーシに押し込むだけで、4台のHDDと2台のブレードサーバーを2台のSASスイッチでHA接続できたことになるのだから、本当にブレードサーバーは物理設置がラクで助かる。読者諸氏におかれても実際にケーブルにまみれた経験があればこの感動を共感できるハズだ!。

基本設定とファームアップデート

BladeCenter Sの目覚め

BladeCenter Sの太い4本の電源ケーブルを次々に電源タップに差し込むと、電源起動時ファン全力回転の唸り音と共に、各モジュールに血液が行渡るように電流が流れ込み、BladeCenter Sが目覚める。

 BladeCenter Sの太い4本の電源ケーブルを次々に電源タップに差し込むと、電源起動時ファン全力回転の唸り音と共に、各モジュールに血液が行渡るように電流が流れ込み、BladeCenter Sが目覚める。シャーシ背面の管理モジュールにEtherケーブルを差し込み、その先をノートPCに接続する。

 ノートPCでWebブラウザを立ち上げ、マネージメントモジュールに接続する。このあたりは、既に自社のBladeCenter Sで何度も繰り返しているので、手慣れている。管理モジュールのIPアドレスやSAS RAID接続モジュールのIPアドレスを社内の試験用サブネットのそれに変更し、社内LANに接続した。

 細かな差異であるが、SAS接続モジュールでは1つだった通信用のIPが、IBM BladeCenter S SAS RAIDコントローラー・モジュールでは、SASスイッチ用に1つ、RAIDコントローラー用に1つ、計2つに増えている。IBM BladeCenter S SAS RAIDコントローラー・モジュールは2台1セットで使用するので、合計4つのIPが必要となる。このあたりはあくまでも管理用なので、通常はローカルIPで十分だが、データセンターに設置し、リモートで(裏口回線などではなく)直接制御するような場合、多少留意が必要かもしれない。

 SAS RAIDモジュールの設定の仕方については、IBMから日本語の構築導入ガイドがWeb上にPDF形式で提供されている。ご丁寧にもインストールフロー図まで描かれており、これを見ながら、作業すれば誰でも出来そうな印象だ。「どれどれ、まずは何をするのかな?」とページをめくると、一番最初に書かれていたのは、各機器のファームのバージョンアップだった。

 先回の時にも、ファームウェアのバージョンには泣かされた経験があり、ここは真摯に指定された通りにバージョンアップを行なう。PDFにはご丁寧にも各種ファームウェアのダウンロード先URLも書かれているが、残念ながらこれらのURLにアクセスしてもページが見つからない。しかし、この程度でへこたれてはいられない。IBMのサポートページで検索を何回か繰り返し、数十分で全てのファームウェアのアップデートパッケージを入手することができた。

 ブレードサーバーのBIOS、BMC、SAS拡張カード等のファームウェアアップデートについては、Windows用やLinux用などが用意されているが、今回はMS-DOSベースのものを使った。rawrite.exe等でFDDイメージファイルをFDDに書き込み、USBのFDDを接続しFDDから起動すれば、PC-DOSが立ちあがりAUTOEXEC.BATでアップデートプログラムが走る。個々のアップデートの度に再起動が必要なため、そこそこの時間がかかる。そういえば昔はこうだったなぁと、ノスタルジックな時間を満喫しながらの作業となった。

次ページ「IBM Storage Configuration Managerが要」に続く

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