現地時間の9日で幕を閉じた、Macの総合展示会「Macworld Conference & Expo」。今年はアップルが最後の参加を宣言し、しかも基調講演はアップルCEOのスティーブ・ジョブズ氏ではなく、上席副社長のフィル・シラー氏が担当するという、いつもとは大きく違う面もあった(関連記事)。
そうしたアップルの動きは、基調講演や会場の雰囲気に何か影響を与えたのだろうか? 現地を取材した、ジャーナリストの林信行氏に話を聞いた。
みんな真剣になって考えていた
── 今回のフィル・シラーの基調講演はどうでしたか?
林 一応、ホールはいっぱいに埋まっていましたし、シラー氏のプレゼンでも盛り上がることは盛り上がっていました。
── 会場にはジョブズの復帰を求めるバナーを持っている人もいたそうですが、やっぱり「ジョブズ恋し」という空気はあったんでしょうか?
林 それはそうですね。ただ、この基調講演には、意味深な箇所もあったんですよ。例えば、最後に生演奏を披露したTony Bennett氏の1曲目が「The best is yet to come」(もっといいことは、あとからやってくる)だったりとかね。
シラー氏が基調講演の冒頭で言っていたように、アップルはMacworld Expoの期間中も、iPhoneでメジャーアプリケーションを開発しているメーカーによるプレゼンテーションをApple Storeで開いたりして、「これからはApple Storeで会いましょう」的な流れは作っていました。
── 「アップル最後の参加」を受けて、展示会はどんな雰囲気でしたか?
林 私はアップルの存在感が希薄化するのは、サードパーティーにとってはいいことだと思っています。つまり、アピールするチャンスがより増えるという。
今回、出展者の中には、お客を集めるために、スティーブ・ウォズニアック(アップルの共同設立者)を呼んでいた企業もありました。アップルの存在感が希薄化したことで、サードパーティーがこの不景気の最中、わざわざ高い金を払って出展するんだから、いかにしてROI(投資利益率)を最大にするか皆、真剣に考えるようになった。そんな雰囲気でした。
イベントの主催者であるIDG World Expoも出展者に対して、すごく積極的にアピールの場を設けていた。イベントが始めるまではメールでの招待状が半端なく送られてきましたし、会場でもスポンサー企業の製品は「QuickLook」という形で目立つように展示していました。出展料に応じて待遇を変化させるなど、主催者の方も賢くいろいろ立ち回っている。
面白い動きもありました。過去、家電見本市の「International CES」などには何度か参加していた「ShowStopper」というプライベートイベントの会社が、今年からMacworld Expoに乗り込みをかけてきたんです。Macworld Expoの会場であるモスコーニ・センターの隣のホテルで、SkypeやDATA ROBOTICSなどが出展するイベントを開いていました。
多くの来場者を集めるイベントに便乗するという、この種のビジネスも広がりつつあるんだと思います。ちなみに私も日本のiPhone開発社を海外のプレスに紹介するイベントを共同で開いています。
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