2つのUIで用途が広がる
タッチパネルは、指先で操作できるHTC 独自の「TouchFLO 3Dユーザーインターフェイス」を搭載する。閉じた状態でも、片手で持ちながら簡単に操作が可能だ。ホーム画面はアプリケーションの画面を指でスライドさせて切り替える独自のものとなっており、よく使うアプリケーションへのアクセスも指先だけで簡単に行なえる。メールやWebだけでなく、音楽や写真・ビデオもホーム画面からすぐに利用できる、エンターテイメント用途にも向いた作りとなっている。
なお、タッチ操作は指先だけではなく、スタイラスペンの利用もできる。Windows Mobile 標準のアプリケーションは画面上の選択ボタンなどが小さく、指先では押しにくいことがある。そのような場合は、スタイラスペンを利用すればよいわけだ。一般的にスタイラスペンは抜き差ししているうちに紛失しやすいが、Touch Proではスタイラスペンがマグネットで固定されるようになっている。端末を振ったくらいではペンが抜けることはない。
一方、スライド式のフルキーボードを開くと、画面が自動的に横転し、ホーム画面も「Email」や「Contact」などのアイコンが8個並んだランチャーメニューとなる。文字入力やWebページの閲覧、オフィスアプリケーションの利用も画面が横手方向に表示されるため利用しやすいだろう。もちろんこの状態でも画面のタッチ操作は可能だ。 最近はタッチパネルを使って画面上のソフトキーボードから文字入力できる端末が各メーカーから発売されている。しかし長文の入力機会が多いビジネス用途には、物理的なキーボードが適しているだろう。Touch Proのキーボードはフィルム状の薄型で、各キーは適度なクリック感があり押しにくいことはない。またキーボードにはSMS/MMS、Email、Webブラウザ、コミュニケーションマネージャーなど利用頻度の高いアプリケーションへのショートカットボタンもあり、アクセスも容易だ(後者2つはFNキーとのコンビネーション)。
このようにTouch Proはキーボードを閉じた状態では片手でアプリケーションを即座に利用可能なタッチパネル端末であり、メールやWebだけではなく音楽プレーヤなどのマルチメディア用途にも利用できる。さらにキーボードを引き出せば小型のビジネス向けスマートフォンとしても活用できるなど、1 台であらゆる用途に対応できるスーパーマシンといえそうだ。
ワンランク上の画面がほしい
長所づくしに思えるTouch Proだが、せっかくの高解像度ディスプレーでありながら物理的サイズが2.8インチと若干小さい点が気になる。iPhoneやサムスン電子の「OMNIA」など他社のタッチパネル端末は3インチ以上の大型ディスプレーを搭載しており、閲覧性に優れている。Touch Proはディスプレー下に各種操作ボタンを配置しているが、これらをタッチパネル内のソフトボタンにすれば、ワンサイズ上のディスプレーを搭載することも可能だろう。次の機種では本体前面の全画面化を望みたい。
また本体サイズと比較して、165gの重量はずっしりとした印象を受ける。重量と厚みはいまの3 分の2 程度がバランス的に使いやすいように感じる。
日本市場に最適な製品
このTouch Proは日本でも同系機が登場予定だ。最近は日本の各事業社も急激にスマートフォンのラインナップを増やしているが、Touch Proはそれらの中でも海外同様に最上位に位置するスマートフォンになるだろう。特にフルキーボードを備えていることからビジネス用途に最適だ。
しかもタッチパネル操作で音楽プレーヤなどマルチメディア端末としても利用でき、外観もスタイリッシュなことからビジネスパーソン向けのだけのスマートフォンとして売り出すのはもったいない。日本の消費者は高機能、高性能、何でもできる、という多機能端末を選ぶ傾向が高いだけに、Touch Proは幅広い消費者層にアピールできるだろう。 Touch Proの日本登場により、海外メーカーのスマートフォンユーザーの裾野がより広がるかもしれない。また海外メーカー端末やスマートフォンにアレルギーを持っていた日本の消費者の目を開化させる可能性も秘めている。海外でも高い評判を持つ製品だけに、日本でどのように評価されるかが楽しみだ。