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仕事で使えるスマートフォン(後編)

2009年01月09日 19時53分更新

文● 遠藤哲・山根康宏

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「仕事で使えるスマートフォン(前編)」に引き続き、後編をお送りする。

ビジネス向けスマートフォン WILLCOM D4

 WILLCOM D4は、国内のスマートフォンの先駆けともいえるウィルコムのW-ZERO3の流れを汲んだ製品だ。スマートフォンと小型PCの両者の長所をうまく取り入れた製品である。また、ウィルコムの次世代PHS戦略へとつながる橋渡しの製品となる可能性を持つ。

日本のスマートフォンのパイオニア ウィルコム

 今やビジネス、パーソナルの境界を越えて、PCや携帯電話が当たり前のように使われている。そのような状況にいち早く対応し、2005年12月に発売した「W-ZERO3」という携帯端末によって、日本にスマートフォンというカテゴリを作ったのがウィルコムである。

 このスマートフォンの草分けとなった携帯端末「W-ZERO3」は、幅130×厚さ26×高さ70mmのボディに3.7インチ(640×480ドット)ディスプレーを搭載している。本体を横長の向きに持って上下にスライドさせると、QWERTY形式の簡易キーボードが現われ、PCのようにローマ字変換で文章を入力できる。OSにMicrosoft Windows Mobile 5.0を採用し、通信機能にウィルコムのPHSと無線LAN(IEEE802.11b)を内蔵する。

WILLCOM W-ZERO3

WILLCOM W-ZERO3

 発売当時はW-ZERO3のようなスマートフォンは国内では他になく、携帯端末を1つ持って出かければメール受信やインターネットの閲覧ができ、必要ならWordやExcel文書の編集もできるという夢のような携帯端末であった。

 W-ZERO3の後継として、その後「WILLCOM 03」が発表された。そしてWILLCOM 03と、同社のデータ通信、スマートフォンといった技術をベースに、モバイルの概念を超えるUltra Mobileというコンセプトで開発した「WILLCOM D4」が発表された。

 UMPCという選択 家電を含むIT 製品、いわゆるデジモノの代表であるPCと携帯電話には2つの大きなトレンドがある。1つはデスクトップ環境の大画面化、そしてもう1つが携帯端末の小型、軽量、高機能化である。

 ビジネスの現場ではPowerPointを使ったプレゼンテーションが一般的に行なわれており、ノートPCを持ち込んで会議室のプロジェクタや大画面モニターに接続してプレゼンテーションを行なうことも普通に見られるようになった。

 その一方でモバイル環境はというと、アスースの「Eee PC」や、アップルの「MacBook Air」に見られるように、薄くて軽くてコンパクトな持ち運びに適したPCと、高速データ通信を利用するためのデータ通信カードの組み合わせが多く利用されている。

 軽くてコンパクト、加えてメールが見られてインターネットを利用できるだけならスマートフォンだけでも十分だが、ビジネスの現場で必要とされる通信の種類は電話やメールに限らず、インターネットの利用、ファイルのダウンロードなどさまざまである。

 特に昨今はプレゼンテーションが重要なビジネススキルとなっており、プレゼンテーションに用いられるドキュメントは画像を多用した数十ページに渡るものもある。

 また個人の利用でも、テレビ放送をPCに取り込み、都合のよい時間に再生するという利用の仕方や、ネット配信によるビデオオンデマンドも、ブロードバンド基盤がほぼ整っている現在、より個人の都合に適したメディアとして利用が促進されている。

 このように日常の中で必要とされている携帯端末の機能は、メールとインターネットアクセスだけでは十分ではなくなってきている。ビジネスでもプライベートでも1つで対応できる携帯端末が必要なのだ。そしてそれに対するウィルコムの回答が、通信機能を備えたUMPC(ウルトラ・モバイルPC)という選択なのである。

著者について

遠藤哲(えんどうさとし)
電子交換機のソフトウェア開発をしていた元SE。インターネットに触発されて転職し、TCP/IPなどインターネット技術のほかSONET/SDH、DWDMなど光伝送システムの教育を担当。現在は独立してネットワークの技術教育インストラクター兼ライター。

山根康宏(やまねやすひろ)
携帯電話研究家。香港を拠点にフリーランスとして活動中。日本と海外の携帯電話ビジネスの違いなど、海外在住者ならではの視点による記事やコラム、書籍などを多数執筆している。海外展示会取材時は現地で端末を購入するなど、各国の体験レポートも得意としている。

本記事について

本記事はNETWORK magazine 2009年1月号に掲載されたものを元に一部加筆・修正しています。なお、記事中で著者名の記載されていない記事は遠藤哲氏が担当しています。

(次ページへ続く)

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