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進化を続ける「デフラグ」ソフトの最新版

Diskeeper 2009で快適環境を目指せ

2009年01月12日 04時00分更新

文● 飯岡真志/ネットワークマガジン編集部

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Diskeeper 2009は、HDDのフラグメントを解消する「デフラグ」ツールの最新版だ。Windows標準のデフラグツールと比較して、大幅に機能アップすると同時に自動化が進められており、インストール後は存在を意識することなく働き続ける。

HDDのフラグメントを解消するデフラグツール

 HDDの「フラグメント」とは、長期に渡ってHDDを使用することによって、ファイルが連続したセクタではなく、HDD上の離れた場所に細切れに記録された状態になってしまうことを表わす。HDDは物理的な記録装置であるため、細切れに記録されたファイルは、連続したものよりも読み出しに時間がかかる。長い間Windowsマシンを使っていると、徐々に遅くなってくるように感じるのは、このフラグメントが一因といわれている。

 デフラグツールは、細切れのファイルをひとまとめに再配置することにより、遅くなったWindowsマシンを再び速くするようにするためのソフトだ。

画面1 Diskeeper 2009の管理画面

画面1 Diskeeper 2009の管理画面

 このデフラグツールであるDiskeeper 2009(画面1)は、Windowsプラットフォーム向けの定番デフラグツールの最新版である。日本国内では相栄電器が販売しており、機能と用途によってHome/Professional/Pro Premier/Server/EnterpriseServerの各エディションが存在する。

 Diskeeper 2009は、OS付属のデフラグと異なり、デフラグという作業の自動化を目指している。もちろん手動でのデフラグ開始も可能だが、いったんインストールしたら、あとはその存在を忘れてしまってもかまわない。

 Diskeeper 2009ではこれまで使われてきたさまざまな技術の改良を進めると同時に、これまで上位のエディションのみに搭載されていた技術を下位のエディションにも搭載することで、ラインナップ全体の機能向上を果たしている。以下、いくつかの技術を紹介する。

「InvisiTasking」

 CPUやディスクI/Oの空き時間を監視し、自動デフラグの際にユーザーの作業に影響を及ぼさないようにする仕組み

「I-FAAST2.0」

 ファイルのアクセス状況を監視し、ファイルの使用頻度に応じて、ディスク上の最適な位置にファイルを配置する機能

「ブートタイムデフラグ」

Windowsの実行中には移動できないページファイルやNTFSのMFT(Master File Table)をPCの起動時に実行するように設定する機能

 このほかにも、Diskeeper 2009は大容量のHDDに対応するデフラグエンジン「Terabyte-Volume-Engine」を搭載しており、大容量化の進むHDDにも対応する。またPro Premier以上のグレードでは、ボリュームサイズは無制限となっている。

実際の効果はどの程度か?

 編集部の作業マシンで、Diskeeper 2009の効果を試してみた。対象のマシンはCore 2 Duo E4700(2.6GHz)、メモリ4GB、HDDがウェスタンデジタルのWD5000AACS(500GB)といったハードウェア構成だ。OSはWindows Vista SP1 Ultimateで、9カ月ほど使用しており、HDDの使用領域は40%程度。

 Diskeeper 2009 Pro Premierをインストール後、HDDの分析を行なうと「デフラグの必要あり」と判定された。Windows Vistaのインストール以降、一度もOS付属のデフラグツールを使用していないため、当然だろう。そこで、そのまま手動でDiskeeper 2009のデフラグを実行してみた。

 Diskeeper 2009はユーザーが作業中でもデフラグが行なえる。デフラグ中にユーザーの作業でディスクI/Oが発生した場合、自動的にデフラグは保留となる(I/O smart機能)ため、ユーザーの作業の邪魔をすることはほとんどない。

Diskeeper 2009

画面2 デフラグ前のベンチマーク結果

Diskeeper 2009

画面3 デフラグ後のベンチマーク結果。20%前後の改善が見られる

 画面2、3はデフラグを行なう前後にベンチマークソフトのCrystal DiskMark 2.2を実行した結果だ。シーケンシャルや512KB単位の読み書きで、20%前後と大幅な改善が見られた。体感速度の点ではあまり大きな差を感じられなかったが、マシン構成が比較的新しく、それほど遅く感じる状態ではなかったためと思われる。時間の関係で確かめられなかったが、スペックの低い機種では体感速度の点でも改善される可能性がある。

Diskeeper 2009

画面4 デフラグ前のファイル配置。フラグメントした赤い部分が目立つ

Diskeeper 2009

画面5 デフラグ後のファイル配置。赤い部分が減る。空き部分は、まとめられていない

 ディスク上のファイルの配置をデフラグ前(画面4)とあと(画面5)で比較すると、赤で示される細切れのファイルが、かなり少なくなっていることがわかる。また空き領域は完全にまとめられてはいないが、100GB以上の連続した領域があるので、実用上問題がなく、速度もこれ以上改善しないという判断なのであろう。

 「自動デフラグ」を有効にしておけば、その後もアイドリング時間を利用してデフラグ作業が続けられる。

 デフラグツールというソフトウェアは、PCの世界では歴史の長いソフトウェアだ。しかし近年ではHDDに大容量のキャッシュが搭載され、OS側でもメインメモリを利用したキャッシュが積極的に使われるため、フラグメントは以前ほど性能低下をもたらさないという意見もある。

 しかしベンチマークのレベルでは、明らかに性能が改善されており、PCの構成によっては体感速度の向上にもつながるだろう。また、ごちゃついていたディスクイメージが、だんだんときれいに揃っていくのを見て、安心感を感じるユーザーも多いのではないだろうか。

相栄電器
http://www.sohei.co.jp/
価格(税込)●8300円(Professional)、1万4300円(Pro Premier)

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