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プラットフォームも「Dragon」世代に進化

AMD、45nm世代の新CPU「Phenom II」を発表!

2009年01月08日 14時01分更新

文● 小西利明/トレンド編集部

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AMD Phenom II X4プロセッサ

45nmプロセスの新クアッドコアCPU「AMD Phenom II X4プロセッサ」

 米AMD社は8日、コード名「Deneb」で知られていた新しいデスクトップパソコン向けCPU「AMD Phenom II X4プロセッサ」を発表した。既存のPhenomシリーズのアーキテクチャーをベースに、高クロック化と低消費電力化を実現している。CPU単体、および搭載製品は本日から発売開始の予定。

 また同時に、Phenom IIを核としたプラットフォーム「Dragon」も発表された。CPU以外は既存のチップセット(AMD 790GX/FXシリーズ)とGPU(Radeon HD 4800シリーズ)で構成される。

Dragonプラットフォームの構成要素

Phenom IIを中核とする「Dragon」プラットフォームの構成要素

Dragonプラットフォームの特徴

Dragonプラットフォームの特徴

 発表された製品ラインアップは下記の2製品。いずれも通常電力版で、45nm SOIプロセスで製造される。上位製品の「Phenom II X4 940 Black Edition」は、クロック倍率上限設定のないオーバークロック向けハイエンド製品である。標準のCPUクロックは3.0GHzとなり、65nm版Phenomの2.6GHzと比べて大きく向上している。

Phenom II X4シリーズ
クロック周波数 2次キャッシュ 3次キャッシュ TDP 価格(ドル、円)
Phenom II X4 940 Black Edition 3.0GHz 2MB (512KB×4) 6MB 125W 275ドル(約2万5850円)
Phenom II X4 920 2.8GHz 235ドル(約2万2090円)
Phenom II X4のダイ写真

Phenom II X4のダイ写真

 CPU内部のアーキテクチャー自体は、2008年11月に発表された45nmプロセス版のクアッドコアOpteronと同等で、対応ソケットやHyperTransportの数などが異なる。CPUのダイサイズは258mm2で、トランジスター数は約7億5800万個。

 CPUコア数は4個で、各コアごとに64+64KBの1次キャッシュと512KBの2次キャッシュを備える。さらに共有3次キャッシュを6MB内蔵する。対応CPUソケットは既存のSocket AM2+と、DDR3メモリーに対応可能なSocket AM3(いずれも940ピン)。しかし、AM3のマザーボードが現時点では販売されていないので、既存のAM2+マザーボードの多くが、BIOSを更新することでPhenom II X4に対応する予定だ。

 CPU内蔵のメモリーコントローラー自体はDDR3/DDR2の双方に対応するが、現時点での対応メモリーはDDR2-1066/800/667/533/400となっている。チップ間インターコネクトバスにはHyperTransport 3.0(3.6GT/秒)を使用する。

Phenom IIの改良要因でどの程度パフォーマンスが向上したかのグラフ

Phenom IIの改良要因でどの程度パフォーマンスが向上したかのグラフ。特に高クロック化とキャッシュの増量が効いている

Spiderベースのシステムと最新のDragonの性能比較

従来のプラットフォーム「Spider」ベースのシステムと、最新のDragonの性能比較。CPUとGPUそれぞれの強化が効果を発揮している

 性能を重視して動作クロックも高いCPUであるため、TDPは125Wと高い。しかし45nmプロセス化と電力制御技術「Cool'n'Quiet 3.0」により、アイドル時の消費電力は従来より40%程度低いとしている。

 Phenom II X4の特徴としてAMDは、オーバークロックへの余裕の大きさを挙げている。DragonプラットフォームとAMD製のオーバークロックソフト「AMD OverDrive 3.0」の組み合わせで、3GHz台を超えて4GHzも狙える可能性があるとしている。実際に製品説明会で披露されたデモでは、3.8GHzまでのオーバークロックを実演してみせた。

Phenom II X4搭載のデモマシン

Phenom II X4搭載のデモマシン。アイドル時の消費電力はマシン全体で150W強程度だった

特別な冷却手段を使わずに3.8GHzを達成

AMD OverDriveによるオーバークロックデモでは、水冷のような特別な冷却手段を使わずに3.8GHzを達成した

Phenom II X4で4GHz超えの可能性も

AMDではPhenom II X4で4GHz超えの可能性を示唆している

 今回の2製品はいずれも、性能重視のパフォーマンス分野向けとなっているが、AMDでは2009年中に、DDR3メモリーのみに対応する「Leo」「Pisces」「Kodiak」(いずれもコード名)のCPUをリリースする予定である。Leoはパフォーマンス、Piscesはメインストリーム、Kodiakはコマーシャル(ローエンド)向けとされている。

デスクトップ向けCPUのロードマップ

デスクトップ向けCPUのロードマップ。今日のPhenom IIは、既存システムとの互換性を重視しているが、年内にはDDR3に絞って、ラインアップも広げる

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