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Premiere CS4、開発者が語る魅力はココ!

2008年12月26日 09時00分更新

文● 千葉英寿

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スピーチ検索で動画編集に更なる革新が起こる

―― Premiere Proの新機能として注目しているものに、スピーチ検索がありますが、これはどのような事ができるのでしょう?

ヘイハースト氏 スピーチ検索は、私に取って一番のお気に入りの機能です。コンセプトは分かりやすく、ワークフローの編集業務を徹底して効率化するのが目的です。

 話者の言葉をタイムコードと紐付いたテキストに書き起こし、検索可能なメタデータとして保持、活用でき、書き起こされた原稿テキスト内をキーワードで検索することにより、シーンの特定の場所に瞬時に移動できます。キーワードを使用して探しているシーンをすばやく見つけて表示したり、検索した単語を基にしてビデオを編集できるのです。

Premiere Pro CS4の新機能の目玉がスピーチ検索。映像の中の登場人物の話から単語を検索して、そのシーンまで飛ばすことができる。画面右側のテキストの集合体がオバマ氏の言葉を書き起こしたもの

―― 具体的な活用事例があったらお聞かせください。

ヘイハースト氏 ちょっと古いのですが話題性の高いもので、先日のアメリカ大統領選の「バラク・オバマ氏のスピーチ」での活用を紹介しましょう。

 この事例はスピーチ検索がはじめてリアルに使われたもので、そのパワーを見せてくれるものです。スピーチ検索は、新旧両方のメディアで利用されています。例えば、YouTubeでもCNNでも使われています。

 例えば、オバマとマケインの討論会で、スピーチ検索の機能によって「Russia」というキーワードはマケイン氏が多用し、「family」というキーワードはオバマ氏が集中して喋っていた事が分かりました。

 この仕組みはPremiere Proでメタデータのトランススクリプト(書き起こし)により、喋っているところをハイライトしていきます。1時間の討論の中でエネルギー問題だけにフォーカスしたいなら、例えば「solar」という単語の検索をかけます。後はクリックするたびに「solar」と言っているところが確認できます。興味のあるところだけを編集し、わずか2分間で、1時間のスピーチを30秒にまとめる事ができました。

上のスピーチ検索の写真のテキスト部分を拡大してみた。スピーチ検索で「solar」を検索。このテキストの中では、オバマ氏がsolarと言ったのは黄色と青色が付いた2ヵ所

 他にも、すべての映像資産を検索する事ができます。重要なのはより速い検索ができるという事です。これは英語でもフランス語でも日本語でも、あらゆる言語をサポートしています。

 また、非常に洗練された機能として、Adobe Soundboothを使えば、Flashキューポイント用のXMLファイルを生成できます。すでに使った編集ワークフローを再び使う事ができるので、より速く編集できます。XML情報をエクスポートするにはたったの数分必要なだけです。

 このようにスピーチ検索は3つのパワフルな機能を提供しています。

―― 日本語の対応はどのようになっていますか? 日本語はいろいろな意味でとれる言葉が数多くありますが。

ヘイハースト氏 大丈夫です。100%正しいわけではありませんが、自分に関係ある話かどうかは判断できます。

 例えば、政治討論で突然、ヘアスプレーの話が出てくれば、それが関係あるかどうかは分かりますよね。ユーザー側もビデオ編集の世界ではすべてが完全はない事は分かっています。みなさん、プロですのでツールを最大限活用して、業務を進めていきます。

 そういう意味では、Premiere Proはまるでおばあちゃんのようなものですね。完璧には聞こえませんが、自分に興味のあるテーマだったら、聞こえる(笑)

―― 専門分野で活用する場合での問題はありませんか?

ヘイハースト氏 例えば、医療のドキュメンタリーで、一般に普及している言葉だったらカバーできますが、専門用語だとうまく捉えることができないかもしれません。そうした特定分野に対応するために、プラグイン機能を用意しています。

 データベースはまだありませんが、今後対応していくことになるでしょう。この他、スピーカー・アイデンティフィケーションという話者の位置を特定する機能があります。誰が喋った言葉かを特定することができ、多人数が会話していても対応できるようにしています。ただし、これからも時間をかけて精度をあげていく必要はあるでしょう。

―― プロフェッショナルビデオの分野とは直接関係のない話題ですが、ACROBAT.COMのようなウェブサービスでビデオを扱う可能性はありますか?

ヘイハースト氏 現状では予定していませんが、今後、必要になってくる分野だと考えています。サービスを供給している例として、バイアコムにオンライン・ビデオエディターを提供しています。

 もし、始めるとすれば、ビデオは媒体が大きくなるので、100GBから始めるようなものになるでしょう。プロの世界ではもっと先の話ですが、コンシューマーでは近い将来に実現していくのではないでしょうか。Premiere Elementsのユーザーの拡大に寄与するのではないかとと考えています。

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