ケータイ・ネイティブに知られていない新機能
今回お呼びした2人は、共に1985年生まれ。小学校ではパソコンの授業があり、中学生までにインターネットに触れている世代だ。六反氏は初めてケータイを触ったときのことをこう語った。
「2000年、中学2年生で初めてケータイを持ちましたが、すでにカラーでした。モノクロケータイには触ったことがありません。テレビもネットも子供の頃から両方ともありましたし、テクノロジーへの抵抗感はありませんね」(六反氏)
もちろん僕も生まれたときからテレビはカラーだったが、ケータイまでカラーではなかった。彼らはケータイにウェブサービスが入っている状態で持ち始めており、メールも他社に送りあえる「@」付きのメアドを使っていた。ポケベルやPHSなどの回線交換を使うショートメッセージサービスには触れていない世代なのだ。20文字のベル打ちを経験した僕からすると、初期のサービスの経験が全く違うことに驚かされる。
彼らは最新のケータイ端末について、どう見ているのだろうか。
例えば2008年~2009年の冬モデルでは、NTTドコモ・au・ソフトバンクモバイルの各社から800万画素カメラを「売り」にするケータイがリリースされた。しかしケータイのビジネスをやっていたり、ケータイのサービスのアイディアを考える情報感度の高い2人も、このニュースを知らなかった。
「(ぼろぼろのINFOBAR 2を見ながら)今のケータイに特に不満はありません。僕はカメラが好きで、デジタルのトイカメラや一眼レフ、ビデオカメラなどをよく使いますが、ケータイのカメラがいくら高画素化してもレンズの解像度が悪ければ600万画素の一眼レフカメラに負けるので、意味がないと思います」(六反氏)
明らかに写真好きの属性に入る六反氏も、ケータイカメラの高画素化競争には興味がない様だ。カメラ好きには「いらない」と言われ、ケータイ好きにも「知らない」と言われる。ケータイ端末が売れない理由が透けて見えてくるようだ。
しかし六反氏も西嶋氏も、ブログやSNSの日記を写真付きで更新するときはケータイのカメラを使っている。カメラ機能自体は上手に使いこなしている。
このあたりから考えると、現在のケータイは新しい端末が出てもイノベーションを起こしていない、と見るべきだ。いくら既存の機能が大幅に高性能化しても、新しい経験がなければ興味を引かないのである。
その代わり、当たり前のようにケータイを2台持つ大学生やワカモノが増えていると言う。恋人やサークルの友人など密に連絡を取り合う相手のために、ウィルコムやソフトバンクのケータイが人気らしい。ちなみに六反氏は「iPhoneも魅力的」と言いつつも、買っていない。iPod Touchを持っていることが大きいが、2台目としては学生には高いし、仮にiPhoneをメイン端末にするとケータイのコミュニケーションが崩れると感じているようだ。学生相手にはiPhoneを売るのは難しそうだ。
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