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林 信行 × 松村太郎 徹底対談

2009年のケータイはこうなる、こう変わる!【後編】

2008年12月30日 09時00分更新

文● トレンド編集部

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日本のメーカーはYahoo! JAPANが救う?

CEATEC JAPAN 2008でも、ヤフーの井上雅博社長が熱心に説明を行なったYahoo! Everywhere構想のイメージ

松村 12月2日に日本のシックス・アパートが5周年を迎えました。この5年間、日本でもCGM・UGCが育ってきて、最近だとTwitterが自分の周りのコンシェルジュサービスみたいになったりしています。そういうログの集合体をどう活用するか、ということを考え始めてもいいのではないかと思っています。自分のログの管理がどのようにネットワークのサービスになるのか? 他の人の情報は使いたいけど、自分のプライバシーは守りたいといったいろいろなニーズが出てくると思うのですが、隙間時間の活用が得意な日本人が、うまく世界に新たなサービスを示せるチャンスかな、と思っています。

林 日本のケータイは撮った写真に位置情報を付けて送ることができました。もっとも、ライフログを残すことはできるけれど、それを楽しむ手段がほとんどなかったんです。iPhoneは元からそういうアプリがあふれています。

 例えば、iPhoneアプリの「Near Me」だったら自分が今いる場所の周りで撮られた写真を見つけてくれて、こんなにキレイな場所がここの周りにあるのか、と発見できたりします。日本人のきまじめさのせいか、記録する部分はケータイに備わっていましたが、楽しむ部分はiPhoneの上で発明されてしまったんです。

松村 ちぐはぐな感じがありますね。安全に使えなければ困るし、災害の時に意味のあるネットワークとして構築することも大切だと思います。しかし早く形になるサービスを提案していくことが重要ですね。またiPhoneにやられた、ということが続くのはもったいないな、と思います。

林 そういう意味ではシャープとYahoo! JAPANのアプローチは面白いですね。AQUOSで観光案内を見ていて、よさそうなページをケータイでブックマークして、その情報をクルマのカーナビと連携させる。クルマにもケータイにもGPSが入っているので、旅行先で撮った写真がケータイそのものやカーナビのGPSで地図上に配置される。彼らはここまでならすぐに考えて実現できそうです。今回の連携を見て思ったのは、日本のメーカーの期待の星はYahoo! JAPANだと思うんです。

 Yahoo! JAPANは、国際的な企業の一部でありながら、いい意味で日本企業的なんです。日米で分離しているのが弱さでもあり、強さにもなると思います。日本企業であるが故に、日本企業が話しやすい。でもGoogleって、グローバル企業なんですよね。Yahoo!と比べるとGoogleは話しにくいかもしれない。

松村 何か世界でサービスをするときに、Yahoo! JAPANとまず話を始めてみる、というのはいい結果が出やすいかもしれませんね。ソフトバンクモバイルとの関係もありますが、その枠にとらわれずに何かサービスを展開すると、面白そうです。だって、AQUOSは日本でよく売れているし、AQUOSケータイは日本のメインの3キャリアから発売されています。どのキャリアのAQUOSケータイからでも操作できればいいじゃないですか。

林 Yahoo!にはeverywhere構想があって、先ほども話したとおり、パソコンの前だけでない、24時間の多くの時間サービスを使ってもらう戦略をとっています(関連記事)。Yahoo!はこれからの時代、テレビ、カーナビ、ケータイに進出する。いろいろなところにエンドポイントを持っていて、デジタルハブのプラットホームになっていく。

 Yahoo!はAQUOSだけでなくソニーのBRAVIAとも連携できているので、Yahoo!ケータイからBRAVIAに連携が取れるようにしてもいい。Yahoo!が中心になって、iPhone以上の使い勝手を作れるかもしれません。

松村 Yahoo!自身も、家電メーカーも、付加価値が高まることになりますよね。クラウドにはWeb 2.0の文脈から向かうクラウドと、情報家電から来るクラウドがあると思っています。しかし、リアルさや生活の近さから考えると後者の方が分かりやすいし、使いやすくなりそうです。その世界観を押し広げる活動というのが日本企業から生まれて欲しいし、そこにケータイや家電などのサービスが連携してくるサービスならとても快適な状況が作れそうですね。

林 Yahoo! JAPANはそういう意味で、めちゃめちゃ頑張って欲しいと思っています。日本のメーカーとの連携を深めることと、日本のメーカーが海外に出て行くときの橋渡しになる役割も担えると思います。そのためにはYahoo! USとの連携を強める必要があると思います。日本のメーカーの救世主はYahoo! JAPANかもしれない、なんて思ったりします。

 もっとも、グーグルもそうした状況に甘んじているわけではありません。これは2009年1月に出版される新著「進化するグーグル」(青春出版社刊)でも書いたのですが、この2009年1月から日本のグーグルの社長になる辻野晃一郎氏は、元々ソニーで「コクーン」や「コネクト」などデジタルハブ的な製品を手がけてきた人物です。彼が社長になるのを受けて、今後はグーグルにも、日本メーカーと世界のITテクノロジーのハブになって欲しいと思っています。このエリアは、私が来年、もっとも注目するエリアの1つです。


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