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JCSが「パーソナル・スパコン」を発表

2008年12月15日 18時38分更新

文● 飯岡真志(ネットワークマガジン編集部)

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GPUはゲーマーだけのものじゃない!

 日本コンピューティングシステム(JCS)は、GPGPU(General Purpose GPU)ソリューションとして、NVIDIAのTesla C1060またはTesla S1070を搭載したコンピュータ「Vintage GLXS-GP1060」、「Vintage VCSC-GP1070」の2機種を発表した。販売開始は12月15日から。

 GPGPUは、これまで3Dグラフィックスなど画像処理に使われていたGPUを、汎用(General Purpose)の数値計算に利用するものだ。GPUは「ストリーミングプロセッサ」と称する浮動小数点演算ユニットを多数備え、並列演算可能な用途においては、CPUとはケタ違いの性能を発揮する。

 NVIDIAが提供するTesla C1060、Tesla S1070は、一般のハイエンドグラフィックスボード(0.5~1.0GB)と比較して、1つのGPUあたり4GBという大容量のメモリを搭載している。しかもこのメモリは102GB/秒という広帯域で接続されている。最新のハイエンドCPUと比較してみると、Core i7でトリプルチャネルのDDR3 1066メモリを利用した場合、8.5×3=25.5GB/秒となる。Teslaのメモリ帯域の広さが理解できるだろう。

Tesla C1060を搭載するVintage GLXS-GP1060

 Tesla C1060は、PCI Express x16インターフェイスの拡張ボードで、動作クロック1.296GHzのGPU(240コア)1つと4GBのメモリを搭載しており、サーバやワークステーションに接続して利用する。

 Vintage GLXS-GP1060は、Tesla C1060を1~3基搭載可能なGPUコンピュータだ。タワー型、ラックマウント型のケースが選択可能なほか、CPU、メモリ、ストレージは用途に合わせてカスタマイズできる。

 構成例としては、インテルのクアッドコアXeon E5405(2GHz)を2基、Tesla C1060を1基搭載したモデルが、57万4875円(税込)から、Core i7 920(2.66GHz)を1基、Tesla C1060を1基搭載したモデルが、45万1500円(税込)から。

JCSが「パーソナル・スパコン」を発表

NVIDIAのTesla C1060(右)を搭載する、日本コンピューティングシステムのVintage GLXS-GP1060(左)

Tesla S1070を搭載するVintage VCSC-GP1070

 Tesla S1070は、1Uラックマウント型のケースに4基のGPU(1.44GHzまたは1.296GHz)を搭載し、合計16GBのメモリを搭載している。Tesla S1070自体にはCPUを備えておらず、専用のインターフェイスカードを用いて、サーバやワークステーションと接続して利用する。

 Vintage VCSC-GP1070は、Tesla S1070とJCSのラックマウント型サーバを組み合わせたものだ。サーバ1台とTesla S1070を1台の最小構成から、ラックマウント型サーバ3台とTesla S1070を9台を専用の筺体に搭載するハイエンド構成まで、豊富なラインナップを揃える。

 構成例としては、インテルのクアッドコアXeon E5405(2GHz)を2基搭載したサーバと、Tesla S1070を1台の組み合わせで、159万6000円(税込)から。

JCSが「パーソナル・スパコン」を発表

Vintage VCSC-GP1070は、NVIDIAのTesla S1070(右)と1Uラック型サーバ(左)を専用インターフェイスカードで接続したものだ

CUDA

 CPU単独のシステムと比較して、驚異的な演算性能を発揮するGPGPUソリューションだが、GPGPUを使いこなすのは簡単なことではない。Vintage GLXS-GP1060、Vintage VCSC-GP1070には、NVIDIAの提供するCUDA(Computer Unified Device Architecture)統合開発環境がバンドルされており、並列化アプリケーションの開発をすぐに始めることができる。

 Tesla C1060、Tesla S1070を搭載したVintage GLXS-GP1060、Vintage VCSC-GP1070により、大学の研究室単位でテラフロップスレベルのスーパーコンピュータを利用できる、「パーソナル・スパコン」時代が到来する。

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