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アニメの原点に戻る──「崖の上のポニョ」と奥井氏

2008年12月13日 11時00分更新

文● 松村太郎

デジタル化で得るモノ

 スタジオジブリでは、デジタルによる映像制作の導入を開始した映画「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999年)以降、3D CGを用いたさまざまな表現に挑戦している。しかし、デジタル化の中心はワークフローの後半部分で、キャラクターの着色(セル画)や、そのセル画と背景を重ねてフィルムに撮影するといった作業の道具としてパソコンを使っている。


奥井氏

奥井氏 デジタル化が進んでも、道具が変わっただけで基本的にやること、目指すモノは同じです。もちろん、デジタル化することで捨てなくてはならなかったものもあれば、新たに得たものもあります。デジタルの導入は必要な流れでしたし、それによって捨てなくてはならなかった部分を、新しい道具でいかに再現するか、というところにも光がある。「崖の上のポニョ」は、そんなひとつの経験になりました。


 今後も、アニメーションの表現は新たな展開を見せてくれるに違いない。そこには、CGによるこれまでにない驚くような表現も出てくるかもしれない。しかし、今回「崖の上のポニョ」でスタジオジブリが見せてくれた、「手描き」や「絵が動くことの面白さ」を追求した表現も残っていくに違いない。奥井氏は若い人や子供たちに向けて、最後にこんな思いを語った。

奥井氏  幼い頃にしかできない実体験というものは確実にあって、デジタルにどっぷりつかっている生活からは得られないモノもたくさんあります。そういった実体験の多さが表現の可能性を広げていくと信じています。ですから、いろいろな映像を見て刺激を受けるのもいいことですが、アナログなものや現実で十分な経験してからデジタルを習得してほしいと思います。


筆者紹介──松村太郎

松村さん

ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET



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