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北の国からやってきた内田洋行の「Pulseチェア」

車いすの研究から生まれたオフィスチェアで、仕事時間を楽に過ごす

2008年12月02日 18時00分更新

文● 吉川大郎/企画報道編集部

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Pulse

内田洋行が北海道大学医学部などと共同で開発した最新のオフィスチェア「Pulse」

 椅子にこだわりを持つオフィスワーカーは多い。人間が働いていくうえで、最も長く身体を預けるモノだからだ。単に“座る”のではなく、リラックスした姿勢で身体が固定されれば、目の前の仕事風景も変わってくるというもの。

 ところが、普通の“オフィスの椅子”といえば、多少はくぼみのあるスポンジの固まりといったところで、リラックスにはほど遠い。そこで人の身体にあわせたデザインの椅子がさまざまな工夫とともに登場してきたが、今回ご紹介する椅子も、その先端を行くコンセプトと技術を持ったモノだ。

 内田洋行の「Pulse(パルス)チェア」は、北の国からやってきた最新のオフィスチェア。北海道大学医学部と、北海道立心身障害総合相談所、そして内田洋行が共同で開発した、産学官共同開発の製品なのである。

 Pulseチェアの開発には、脳性麻痺者の車いすを研究してきた、北海道大学医学部保健学科 八田達夫教授と、北海道立心身障害者研究相談所 企画総務課のリハビリテーション・エンジニア西村重雄氏が関わっている。まさに生活と一体となって働く車いす。 その医療現場の技術がオフィスに投入されたというわけだ。

 Pulseチェア最大の特徴は、PC利用など同じ姿勢での長時間労働に対応し、さらに身体のあらゆる動きに対応できる工夫がなされていること。

 たとえば、長時間座り続けていると「座骨結節」と呼ばれる骨盤の下部が前方に動き、当初の着座位置からズレを生じて腰に負担がかかるのだそうだが、 Pulseチェアは座骨部分に合わせてくぼみを作ることでズレを解消。さらに背もたれでは、胸郭の下を支えるカーブを作ることで、より安定して身体を支えるのだそうだ。

 また、身体の動きへの対応という意味では、リクライニングの屈折点を、腰が屈折する箇所=大転子に合わせて設計。人が背もたれに身体を預ける際、足の「拇指球」(親指の付け根)で床を押し、それが大転子を介して背もたれに伝えられるからだ。Pulseチェアはこうして、頭部の揺れを押さえるとともに、後傾/前傾姿勢の切り替えによる身体の負担を減らしている

 製品価格は、肘なしタイプが11万4450円から、ヘッドレストと肘も付いたタイプが16万6320円まで6種類。

 もちろんデザインも考慮されているのはご覧のとおりで、デザイナーはカワカミデザインルーム代表 川上元美氏だ。八田氏、西村氏は20年にわたって、“シーティング”技術を研究してきた。こうした姿勢保持研究から導き出されたメカニズムや方法論は、働く人々の気持ちを、グッと向上させるに違いない。

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