海外取材に行った編集部員によると世界には富裕層向けの高級ケータイというものがあるそうだ。五輪・万博景気で賑わう香港、原油バブルで沸き立つドバイ、同じく資源景気で潤うモスクワなどでそれらを見た人によると、宝石を散りばめたモノ、貴金属を使った外装を持つモノなどなど、"ガラパゴス"と揶揄されるケータイ鎖国日本の住人には想像も出来ない世界が広がっているらしい。
その富裕層ケータイが2009年2月にいよいよ日本に上陸する。その名も「VERTU」(ヴァーチュ)、謳い文句も「究極のラグジュアリーモバイルフォン」だ。NTTドコモとMVNO契約を結び、コミュニケーションサービスを開始する。なお、気になる価格だが、今回発表された中で一番高い端末で370万円、一番安い端末でも67万円だ。2008年の日本人の全職種平均年収が461万円(インテリジェンス調べ)なので、端末によっては平均年収の8割にもなるお値段、ということだ。
もちろん本機は値段が高いだけではなく、高い値付けに見合った品質となっている。例えば370万円の端末「Signature」は、ディスプレイの部分に2000℃の溶鉱炉で二週間以上かけて精製して作成されたサファイアの結晶を使用してている。その上本機1台毎に職人の銘が入っているそうだ。さらに着信音は、アカデミー音楽賞受賞の作曲家ダリオ・マリアネッリが本シリーズのために書き下ろしたオリジナル曲を使用し、その演奏はロンドン交響楽団だ。ロンドン交響楽団といえば「スター・ウォーズ」シリーズの楽曲演奏を行なっている、ということしか知らないSFマニアの編集子だが、まさに本機は贅を尽くしたケータイだ、ということだけはよくわかる。
ちなみにこのVERTU、実はNokiaのブランドなのだ。Nokiaといえば、先日日本事業の縮小を発表したばかり。編集部内では、「Nokiaが買えなくなくなるのならVERTUを買えば良いじゃない」と某王妃風な発言をする部員がいたが、残念ながらVERTUはNokiaであってNokiaでは無い。どういうことかというと、本機にはNokiaという文字は一切記載されていない。むろんNokiaファンの編集子といえども、本機はとても買える値段ではないのだが、その点が残念なところだ。