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702NKから4年を振り返る

さよなら、Nokiaのスマートフォン

2008年12月01日 18時57分更新

文● 広田稔/トレンド編集部

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PDA好き、ガジェット好きをトリコにした「702NK」

 ノキアのスマートフォンの魅力を語る上で、「パソコンとの親和性が高い」と「柔軟にカスタマイズできる」という2点は外せない。それは今に至るまで変わらない特徴だ。

 ノキア端末が日本で大きく受け入れられるきっかけとなったのが、ボーダフォン(現ソフトバンク)が2004年末に発売した「Vodafone 702NK」だった。「京ぽん」こと「AH-K3001V」のリリースが2004年5月で、初代「W-ZERO3」の発売が2005年12月だから、ちょうど日本における「スマートフォンの夜明け」の時期に登場したことになる。

起動中の702NK

起動中の702NK。「チャラチャンチャンチャーン」という起動音は、ノキアファンお馴染みのものだろう

 702NKは、当時、まだそう多くなかったフルブラウザーを備えたうえ、POP3/IMAP4に対応しておりパソコンの電子メールをやり取りできた。Outlookなどパソコンに保存してある住所録をケータイと同期可能というのも大きな特徴だった。特にMacではMac OS X標準のデータ同期ソフト「iSync」を使い、Bluetooth経由で住所録を送れるとあって、とても使い勝手がよかったのだ(ただし、事前にちょっとした設定が必要だったが)。

 そのほか、世界のユーザーが作ったソフトを組み込めた点も大きく支持された理由だ。スケジュールソフトを使って予定を管理したり、手持ちのMP3を音楽プレーヤーで再生したり、さまざまなユーザーが作ったゲームを遊んだり──。ケータイ事業者がコンテンツの「囲い込み」に走る一方、ソフトの追加が比較的自由にできたのだ。

 標準状態の702NKは、ボーダフォンの制限でソフトをインストールできないようになっていたが、ユーザーの手によってインストーラーのパッケージを解凍して、手動でファイルをコピーするという「抜け道」が見つけられ、その後の機種でも定番のテクニックとして定着している。

 デザインも、国内で主流の折り畳み型ではなく、前方後円墳のようなユニークなデザインのストレート型だった。auのフルチェンではないが、端末の「ガワ」は交換できるようになっており、並行輸入で売られている交換パネルに手を伸ばすユーザーもいた。

メニュー画面

アイコンも少し凝っていた702NKのメニュー画面。メニュー画面の見た目もユーザーの手により用意されたテーマに差し替えることでがらっと変更できた

 そうした多くの楽しさを提供してくれた反面、日本のケータイとはさまざまな点で違っていたため不満も聞かれた。パソコンのようなメニュー構成に戸惑い、着信音を変更するだけでもどこで設定すればいいのか探すのに苦労したという話も聞く。

 あれこれアプリを組み込むと、フリーズしたまま戻ってこなくなることもしばしばあった。筆者も「メモリ不足」とだけ画面に表示されて、まったく操作を受け付けなくなることを何度も経験している。電池の持ちも、そうよくはなかった。

 ただ、そんな702NKでも、PDA好きやガジェット好きなど、一部のユーザーは飛びついて遊びまくった。ユーザー同士の情報を交換する専用のWikiが作られ、ついには「まるごと702NK」(技術評論社)という書籍までも登場している。ダメなところもあるけど、この端末でしかできないことも多い──。702NKの後継となる「Vodafone 702NK II」も含めて、そんな具合に、大いに愛されてきたのだ(関連記事)。

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