TMPGEnc 4.0 XPressで見るCUDAの威力
テスト方法
サンプルソースとして、1440×1080ドット/MPEG-2で10秒(301フレーム)のHD映像を用意。これをDVD画質相当(720×480ドット)のMPEG-2に再エンコードする時間を計測した。エンコード設定は「画質重視」、動き検索制度は「標準」で、プレビュー画面は表示する設定としている。そして計測は3回行ない、その平均時間を求めた。(小数点以下は四捨五入)
TMPGEnc 4.0 XPressは複数のフィルタ設定ができるため、フィルタを段階的に増やして負荷を高め、CPUとGPU(CUDA)の使用率の変化とGPUスペックでどれだけ時間短縮が可能なのかを見ていきたい。
なおあらかじめ断っておくが、今回はMPEG-2 → MPEG-2変換なのでTMPGEnc 4.0 XPressの性質上、エンコードそのものは、あまりQuadコアの恩恵が得られない。ソースやターゲットがAVIやWMVなどでは、Quadコアは比較的効くのだが、今回はCUDAによるフィルタ処理のアクセラレートを見るため、MPEG-2の再エンコードとしている。
フィルタ別エンコード時間
テストに入る前に、フィルタごとの特性をまず見ておこう。TMPGEnc 4.0 XPressでは「映像ノイズ除去」「輪郭強調」「色調調整」「音声ノイズ除去」「音声ボリューム調整」「スマートシャープ」「映像シャープネス」の7つのフィルタが用意されている。これが、どのくらい負荷の高いものなのかをチェックしてみた。使用機材は、CPUにCore 2 Quad Q9550、ビデオカードにGeForce GTX 260を使用し、CUDAを有効にして計測したのが下のグラフ1だ。
エンコード時間なのでバーが短いほど高速(軽い)ということになる。「フィルタなし」を基準に見れば「色調調整」「音声ノイズ除去」「音声ボリューム調整」の3つはエンコード時間にほとんど影響しないことが分かる。
このとき、CPUとCUDAの使用比率を計測したのがグラフ2だ。「色調調整」「音声ノイズ除去」「音声ボリューム調整」の各使用比率はCPU 60%、CUDA 40%でほぼ同じ。つまり他のフィルタに比べてこの3つのフィルタはCUDAの活用率が低いことが分かる。逆に残りの4つのフィルタはCUDAの使用比率が80~99%と、CUDAの活用率が非常に高いことが分かる。
これを踏まえて、以下の計測パターンを作った。
・フィルタなし
・パターン1(映像ノイズ除去)
・パターン2(映像ノイズ除去、輪郭強調)
・パターン3(映像ノイズ除去、輪郭強調、映像シャープネス)
・パターン4(映像ノイズ除去、輪郭強調、スマートシャープ)
・パターン5(映像ノイズ除去、輪郭強調、スマートシャープ、映像シャープネス)
パターン1に映像ノイズ除去を入れているが、これを「スマートシャープ」に置き換えても同じようなエンコード時間になるのは、先のテスト結果から明らかだ。パターン1は重いフィルタ処理を1つ実行した場合の目安、以下同様に重くしていきパターン5では全てのフィルタを有効にした場合を想定している。
(次ページへ続く)
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