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山谷剛史の「中国IT小話」 ― 第36回

中国ブラックスクリーン問題──マイクロソフトのアメとムチ

2008年11月19日 14時06分更新

文● 山谷剛史

正規版だとこのように認証されるのだが……
正規版だとこのように認証されるのだが……

マイクロソフト中国が、中国で海賊版対策に今、力を入れている。海賊版利用者に対して厳しく対応したり、パソコンメーカーにWindowsをプリインストールするようハッパをかける「ムチ」を与える一方で、正規版の価格を下げる「アメ」も与えている。しかしそれでも中国人消費者の大半はかたくなに「中国の国情だから」という言い訳を繰り返し、海賊版を利用し続けている。


ウェブメディアもテレビも取り上げた、マイクロソフトの「ムチ」


 マイクロソフト中国は、一向に改善しない中国での海賊版普及状況に対し、Windows XP Professional版の海賊版を利用すると、1時間おきに壁紙がなくなり、真っ黒なデスクトップ上で正規版購入を促す措置をした。

新浪(Sina)の特集ページ騰訊網(QQ)の特集ページ
新浪(Sina)の特集ページ騰訊網(QQ)の特集ページ

 該当OSについて自動更新をかけると、WGAが更新され、該当OSの海賊版の所持者は警告画面とご対面となる。中国では、(海賊版を含めて)Windows Vistaへの移行は一向に進んでいない。非常に多くの中国人パソコンユーザーが該当するOSを使用しており、この海賊版対抗措置は多くのパソコンユーザーを直撃した。中国メディアは、今回の処置を「マイクロソフトはブルースクリーンではなく、ブラックスクリーンにした」「史上最大の反海賊版活動」と称している。また同社のOfficeも自動更新でOGAが更新され、海賊版に対して常に警告を行うという措置をしたが、Officeの措置はさほど話題となっていない。


お買い得感はあるのだが……


 一方でマイクロソフトはムチだけでなくアメも与えた。今夏には、マイクロソフトが中国の2大家電チェーンのひとつ「蘇寧電器」と組み、Windows Vista Home Basicを499元(約7500円:1元=15円で計算)で提供。ほかのエディションについても、それぞれ日本円にして1万円以上値下げした。

 筆者は、これをきっかけに正規版Windows Vistaを導入しようと購入した。結局いまだに買ったものの、導入できていない。その踏んだり蹴ったりな経緯は当方のブログ記事で。ブラックスクリーン事件後も、マイクロソフト製品の値下げは続き、例えばAmazon中国では、Windows XP Home EditionのOEM向け(正規版)が383元(6000円弱)、Office2007のアカデミックパック(正規版)が199元(3000円弱)で販売されている。かなり思い切った価格設定だ。

Amazon中国1Amazon中国2
Amazon中国では、Windows Vista正規版の格安販売が実施されている

 このようにマイクロソフトは、アメとムチの両方を与えているが、中国メディアはWindows XP Professionalのブラックスクリーン問題というムチばかりにフォーカスしている。中国最大のポータルサイト「新浪」(Sina)をはじめとした、多くのウェブメディアは特集ページを設置。

 テレビ各局もこれを取り上げた。多くのメディアは「海賊版はよくない」と啓蒙しつつも、「クラッカーが破ったブラックスクリーン問題解決例の紹介」という記事を筆頭に、読者が食いつく記事を掲載する。なんとなく「海賊版は悪だけど、止められないのは理解できるよ」的なポジションで、記事を掲載しているように見える。

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