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金融不安時代は「コストパフォーマンス」が決め手

速いだけじゃないフォーティネットの戦略製品たち

2008年11月18日 04時00分更新

文● 大谷イビサ(ネットワークマガジン編集部)

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複数のセキュリティ機能を単一のアプライアンスで提供するUTM(統合型脅威管理)のジャンルを切り開いてきたフォーティネットが、新製品を次々と投入している。総合的セキュリティベンダーとして生まれ変わりつつある同社の最新動向と新製品を一気におさらいしていこう。

価格性能比を重視せざるをえない金融不安はむしろ「チャンス」

 フォーティネットは、ASICによる高速なウイルス検出技術をファイアウォール・VPN機器に埋め込むことで、UTMのはしりとなる統合型のセキュリティ装置の市場を切り開いてきたベンダーだ。現在では、セキュリティにコストをかけられない中小企業をターゲットにした小型のモデルから、大企業や通信事業向けの信頼性の高いモデルまで、幅広い製品ラインナップを投入している。2000年設立ということで、シリコンバレーのベンチャーというイメージが強いが、すでにワールドワイドで1000人近い従業員を抱え、上場していないIT企業としてはかなりの規模を誇っている。

 先頃、フォーティネット日本法人の社長に就任した坂本明男氏は「昨年度に比べても弊社の売上は3割近く延びており、セキュリティの分野でいくとシスコシステムズ、ジュニパーの次くらいに来たと思います」と同社の好調ぶりをアピールする。「金融不安などの影響でIT予算が減らさせている昨今は、私たちは逆にチャンスだと捉えています。お金があるときには、ブランドのある多少高いものを買ってもよいですが、不況下ではコストパフォーマンスがきわめて重要になるからです。その点、弊社のUTM製品は価格対性能がとても高いので、選択の上位にくるはずです」ということで、特にファイアウォールからUTMへのリプレイス需要を積極的に狙っていくという。

日本法人社長に就任した坂本明男氏

日本法人社長に就任した坂本明男氏

 また、今まではインターネットとLANの間に設置するゲートウェイの分野を中心に製品を展開してきたが、今後はトータルセキュリティベンダーとして幅広い分野に進出していくという。「3つの企業買収を元に、今後2~3年でアプリケーションセキュリティやアクセスコントロール、ストレージ関連などの分野にもチャレンジしていく」とのこと。今後はますます多くの機能がUTMに載ってくるとのことで、統合化の流れは加速しそうだ。

 こうした同社の新分野への取り組みの1つが、10月1日に発表された「FortiDB 1000B」である。FortiDB 1000Bでは、アクセス権やパスワード、データベース自体の脆弱性などを精査することで、データの搾取や窃盗を防止するためのアプライアンス。オラクル、IBM、マイクロソフト、サイベースなどの異ベンダーの各種データベースに対応しており、同時に30件のデータベースをサポートするという。こうした脆弱性チェックは確かにコストがかかるため、有用なアプライアンスといえるだろう。

データベースの脆弱性を精査する「FortiDB 1000B」

データベースの脆弱性を精査する「FortiDB 1000B」

戦略製品第2弾「FortiGate-620B」でミッドレンジを拡充


 

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