構造の工夫により、温度や強度の問題を解決
エッジライト方式のバックライトだけで、ZX1の薄型化が実現できたわけではない。
構造自体も従来のセオリーとはまったく異なるアプローチで薄型の限界への挑戦が始まった。最も問題となるのは「温度」だ。
白色LEDはもちろん、液晶パネルの駆動にともなって内部の温度が上昇する。これを効率よく放熱するには空間が必要だ。つまり薄型化の大きな壁となる。
開発では「0.1mm薄くすれば温度が上がる」、「0.1度温度を下げれば厚みが増す」というまさに一進一退の攻防が続いたという。
それらを克服したポイントはまず、部品点数の削減だ。下のイラストを見てほしい。左側の従来の液晶テレビの構造と比べて、前面シャーシと背面シャーシがなくなっているのがわかるだろう。
これはアルミ材を使用した前面ベゼルと背面パネルがシャーシを兼用することで実現した。なお、これらは放熱板も兼ねており、ボディー自体が内部の温度低下に貢献している。
もう1つの問題が強度だ。ボディ全体が薄くなれば強度も下がる。ここはベゼルや背面パネルの形状に工夫をし、全体として強度を高める設計となっている。
とりわけユニークなのは、背面パネル上部と左右が斜めにカットされていること。デザインのためかと思いきや、機能的にも一役買っているという。
このほか、LEDの温度をボディに伝えて放熱効率を高めるパーツを構造材としても使用するなど、さまざまな工夫によって、薄型化にともなう温度と強度の問題を解決した。
ちなみにZX1の内部構造は極めて複雑なようで、一度分解したら元に戻すのはかなり難しいという。その一方できちんとデザインにも配慮しているところがソニーらしい。
例えば前面や側面にはネジが見えず、パーツの継ぎ目も注意しなければ目に入らない。前面ベゼルのアルミ板は極めて薄く、画面とボディーの一体感を高めている。
強度が心配になる薄さだが、実際に触れてみると想像以上にがっしりとした剛性感がある。
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