レゾリューションプラスは決して「机上の技術」ではない
「この技術によって得られた映像を初めて見たときは、もっと高精細さを重視した映像になっていました。可能性は高いのですが、このままでは実用化できないと感じました」
そう語るのは、REGZAの画作りを担当している住吉肇氏だ。
映像全体に超解像技術を使うと、精細感は高いものの、ノイズが増えてしまうことが多々あった。そこで、より自然な画作りを実現するため、映像の内容を3部分に区別しているのだ。
レゾリューションプラスの場合、映像を変化に乏しい「平坦部」、輪郭などの「エッジ部」、細かな模様のある「テクスチャー部」に分類する。このテクスチャー部だけを超解像することで、細かい模様や質感などだけを向上する。
一方で「エッジ部」は不自然な強調感が出ないように、新たに採用された「新LTI回路」で自然な輪郭を再現するなど、それぞれに処理を変えている。
また、映像の分類のために、従来からの輝度ヒストグラムに加え、周波数ヒストグラムを検出する回路も加わっている。こうした巧みな画作りをすることで、精細感が高く、しかも自然な映像再現が可能になったのだ。
「空と海の青さの違い」が分かる人のための技術
ただし、一見しての違いはごくわずかだ。芝生やレンガの質感などが蘇り、映像がより緻密になった印象を受けるものの、従来のアップコンバート映像のように「画面全体クッキリ!」という分かりやすいものではない。
あくまでも自然な映像再現を重視することで、映像の奥行きや立体感を繊細に再現しているのだ。
別のテレビで同じ映像を見ると、一見シャキッとした映像ではあるものの、全体にディテールが強調された不自然な映像であることに気付くはず。
好みの差もあるが「まっすぐ正直で、リアルな映像作り」という点では、確実にREGZAに軍配が上がるだろう。まさに「空と海の青さの違い」に涙できるユーザーのための技術と言える。
地上デジタル放送などの1440×1080ドットの映像のほか、DVDソフトの720×480ドットの映像の再生でも効果がある。ただし、本村裕史氏によればエンコード環境の良くないソースなどでは効果が薄いという。
超解像は「オリジナルの映像が持つ情報を復元する」ため、映像自体の情報量が少ないと信号の復元も難しいのだ。また、BDソフトなどの1920×1080ドットの信号を入力した場合は「レゾリューションプラス」は働かない。
ちなみにBDレコーダーなどのハイビジョンレコーダーをHDMI接続すると、自動的に1080p出力に設定される。すると出力信号はすべて1920×1080ドットの信号になってしまうのだ。こうなると超解像は適用されないので注意したい。
(次のページ: でも、超解像って今だけ必要な技術なんじゃないの?)
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