スイッチの低価格化が100Mbpsへの移行を促進
今まで20万円で販売していたものを、4万円にするということで、業界に与える影響については懸念もあった。富山氏は「正直いって、販売代理店さんから反発もありました。既存の高価な製品とスペック的にまったく差がなかったので、今まで高かった理由が説明できないんです。しかし、価格を下げることは、単に安売り競争ではなく、市場を拡げることだと信じていました」と当時の様子を語る。
結果として、LSW10/100-8のシリーズは垂直立ち上げに成功し、半年後には月5000台出荷する大ヒット製品となった。価格が下がったのにもかかわらず、売上高は伸び、市場を一気に拡大させたのだ。「販売を開始してから半年後くらいには、1 社で150 台といった大規模な案件も来るようになりました」(根本氏)ということで、SOHOだけではなく、大企業のユーザーがいち早くメリットを認めたというのも大きい。
そして、市場の拡大は結果的にチップのコストを下げ、競合ベンダーの参入を生んだ。結果として、スイッチングハブの価格は約半年で2 万円まで下落し、導入の敷居はぐっと低くなった。もちろん、その競争の影でひっそり撤退したベンダーもあった。
1998年当時、折しもLANは10Mbpsから100Mbpsへの移行期にあたっていた時期で、これらスイッチングハブの低価格化は、100Mbpsへの移行を促した。1999年に登場する無線LAN製品と共に、中小企業のネットワーク化に大きな貢献したのは間違いない。
社名をバッファローに改めたメルコは、10年後の2008年6月、ついに10万円を切るレイヤ3スイッチを市場に投入した。ネットワークをとことんコモディティ化(日用品化)する、同社のチャレンジはまだ続いている。
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