ユーザーの利便性を考えているのは?
筆者の場合、ダウンロードしたデータ/プログラムなどは、その場ですばやくチェックしたい。NIS2009とウイルスバスター2009のウイルス検出率を調べるため、各種実験用に手元に隔離してあるウイルスプログラム集を調べてみた。どちらも、ファイル/フォルダを指定してのカスタム検索で実行した。
NIS2009 | ウイルスバスター2009 |
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約3分で終了。351ファイル中208ファイルを検出し、削除を行なった | 約5分で終了。ZIPファイルごと1件として削除 |
NIS2009はウイルス部分を除去し、安全なテキストデータなどをZIPファイル中に残した。対してウイルスバスター2009では、ZIPファイルごとまとめて削除(隔離)した。
ウイルスバスター2009もNIS2009と同様に、208ファイルをウイルスとして検出しているので、検出率には違いはない。しかし、削除・隔離されたZIPファイルを復元し、その中から非感染ファイルを探すという行為が必要になる。復元作業で感染するリスクも高くなってしまう。
なお、ウイルスバスター2009は処理時間もやや長いが、これには理由がある。カスタム検索では指定したファイル/フォルダ以外にも、Windows Vistaのシステムファイル類についても、毎回必ずチェックするからだ。この結果は、セキュリティーホール(脆弱性情報)として、Windows Updateの情報とまとめて報告され、Windows Updateにより修正プログラムを入手するよう促される。
一方NIS2009では、Nortonインサイト機能により、現在システムで動いているプログラム(各種サービスやアプリケーション)は、あらかじめ確認しておき、「信頼済みファイル」として以降のスキャン対象から外す。信頼済みファイルには繰り返しスキャンを行なわないことで、負荷低減を図っている。
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メモリー消費量の低減やウイルス検索速度の向上といった、どちらかと言えば「見た目の上での高速性・軽量性」を実現したものと、処理そのものを見直して、「見えない部分での改善」に主眼を置いたものとで、真にユーザーの利便性と安全性を考えているのはどちらだろうか?
こうしたことは、パターンファイルのアップデート処理ひとつをとっても見えてくる。今回は、ウイルス検索機能に絞ってのレビューとなったが、2009年版のセキュリティーソフトは、ホームネットワーク管理など使いやすい機能も満載である。両者とも期間限定の試用版を配布しているので、実際に試してみるのもいいだろう。