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対決 ノートン vs ウイルスバスター

最新セキュリティーソフトは本当に「早くて軽い」か?

2008年10月25日 10時00分更新

文● 池田圭一

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ウイルス検索時の負荷を比較

 両ソフトとも今回のバージョンから、ウイルス検索処理をバックグラウンドで実行できる。これによりスキャン速度は遅くなるが、ユーザーが動かしているアプリケーションが遅くなるのを避ける狙いがある。実際にアプリケーションを使いながら、VistaをインストールしたHDDを対象にウイルス検索を実行して、メイン動作時とバックグラウンド動作時の負荷を比較してみた。

NIS2009で、ウイルス検索をバックグラウンドにする設定

NIS2009で、ウイルス検索をバックグラウンドにする設定。ウインドウを最小化するとバックグラウンド処理に移行する

ウイルスバスター2009でのバックグラウンドにする設定

ウイルスバスター2009でのバックグラウンドにする設定。「バックグラウンドで実行する」ボタンを押す

 パソコン上でCPUに約50%の負荷をかけるプログラム(解析ソフト)を走らせながらウイルス検索を実行。CPU負荷をVistaのリソースモニタで見てみた。

バックグラウンド動作時のCPU使用量

NIS2009 ウイルスバスター2009
60%負荷 80%負荷
NIS2009 バックグラウンド実行負荷

NIS2009 バックグラウンド実行負荷

ウイルスバスター2009 バックグラウンド実行負荷

ウイルスバスター2009 バックグラウンド実行負荷

 どちらもバックグラウンド動作時には、メモリーフォールト(=HDDとのページファイル読み書き)が増加した。空冷ファンの動作音からしても、体感的には「NIS2009のほうが負荷が低いな」と思えたのだが、はたしてCPU負荷を見てもその通りの結果であった。

 ちなみにウイルスバスター2009では、従来品に比べて導入後のメインメモリー消費量を45%削減したという。そこで、バックグラウンド動作時の物理メモリー使用量を比較してみた。

バックグラウンド動作時のメモリー使用量

NIS2009 ウイルスバスター2009
68%前後 56%前後

 メモリー消費を比べるとウイルスバスターが有利だ。しかし、同じくリソースモニタのディスク(HDDの読み書き量を示す)に目をやると、NIS2009側のアクセス頻度のほうが低い。

 なお、特にほかのプログラムを走らせていないとき(低負荷の状態)に、両者のウイルス検索速度を比較してみた。Cドライブ検索が終了するまでの待ち時間は、NIS2009が約5分で、ウイルスバスター2009が約3分かかった。時間ではウイルスバスターが有利ではあるが、両者の推奨設定が異なることに注意したい。例えば圧縮ファイル内の階層など、チェック対象とするファイル種別にも違いがある。推奨設定のままでは一概に、どちらが早いとは言えない。


リアルタイム監視状況をチェック

 ここでは、ファイルアクセス(コピーや移動を含む)時のウイルス検索機能について調べてみた。通常、これらの機能は「リアルタイム検索」と呼ばれ、システムに常駐して自動的に動作する。テストでは、ウイルス(マルウェア)に感染したファイルをZIPファイル内に収めたものを用意。ZIPファイル中の感染ファイルを、Vistaのデスクトップ上に展開しようとしてみた。

NIS2009 ウイルスバスター2009
メッセージを小ダイアログに表示。ファイルは展開されない ダイアログ等は出ないが、ファイルは展開されない
NIS009の処理

NIS009の処理。ZIPファイルからファイルをドラッグ&ドロップすると、瞬時にメッセージが表示された

ウイルスバスター2009のリアルタイム検索設定

ウイルスバスター2009のリアルタイム検索設定。デフォルトは「手動処理が必要な場合のみメッセージを表示する」になっている

 従来はマルウェアなどを発見すると、「どう処理するか」をいちいち指定しなければならなかった。また、警告メッセージのポップアップ表示が、ユーザーが何をしているかに関係なく出てきて、画面を占有するため嫌がられた。

 それらの指摘が反映されたためか、最新のセキュリティーソフトの多くは、明らかな不正プログラムは何も聞かずに削除(別の場所に隔離保存)するのが一般的である。とはいっても、削除した際にはそのことを表示してくれないと、ユーザーには何が起こっているのかさっぱりわからないだろう。

 ウイルスバスター2009の「メッセージ非表示での削除」は、(動作ログには記録されるものの)あまりに機械的な対応と言わざるを得ない。設定を変えれば、メッセージ表示の仕方も選べるのだが、よほど詳しいユーザーでなければ、セキュリティーソフトの設定など、いじろうとはしないものである。

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