安価で低スペックなパソコン≒貧しい人向け
空港の搭乗ゲート付近で、ノートパソコンを広げて時間をつぶす光景が中国においても、当たり前になってきた。
「飛行機に乗れる」ということは、一定以上の所得がある中国人であろうが、こうした人々がノートパソコンでしていることは、たいていはDVDで映画を観ているか、チャットをしているかのどちらかである。中国の国際空港で、アジア系のビジネスマンが同じようにノートを広げていたとしても、Let'snoteを開き、PowerPointのプレゼンやExcelのファイルを編集していれば、ほぼ間違いなく、それは日本人である。
例えば、中国の電脳街では、外付けのDVDドライブを滅多に見かけることがない。これも1台で完結できる、2スピンドルノートを購入するのが当たり前という、中国の消費者心理を裏付けている。
日本をはじめとした世界のメディアや、台湾のASUSをはじめとしたメーカーは「分相応」と言わんばかりに、「貧しい国には安いロースペックのパソコン」という図式で考えてしまいがちだ。どこかのメディアで筆者がWindowsに絡んだ海賊版事情を紹介すれば「Windowsを買う金がなければLinuxにすればいいのに」と感想を持つ読者もいる。
しかし「貧しい人には貧しい人にふさわしいスペックを」という、先進国のリッチな人々の考え方は、途上国の人々の心境を理解していないのではないか。
ところで冒頭で紹介した、Netbookが上海や北京など高所得な地域の電脳街で比較的多く販売されている事実。これは結局のところ、中国でも日本のブームと同様に2台目のお遊び用パソコンとして、Netbookが買われていることの表れである。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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