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つなげ!オンガク配電盤 第5回

KORG DS-10──生みの親・佐野信義氏に挑戦

2008年10月19日 12時00分更新

文● 四本淑三(powered by 武蔵野電波)

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DS-10を知らない層に訴えかけたい


DS-10では、MS-10の特徴であるパッチシンセのデザインも再現されている

── では気を取り直してDS-10。今更言うのもなんですが、ホントに良く出来てますよね。

佐野 だって開発スタッフも言ってますからね。こんなに良く出来ているものだとは思わなかったって。

── レゾナンスを上げてフィルターを開けていくときなんか、すごいリアルですよね。

佐野 その辺はコルグさんのノウハウですね。パラメーターにしても、1ドット動くとリニアにパラメーターが動くとか、そういう話じゃないんですよ。ものすごい職人芸的なカーブで。挙動に対する反応のチューンナップはすごかったです。土壇場の、最後の最後まで、ほんとにすごかった。



ゲームとして売るか、楽器として売るか


── そういえば、ものすごく売れたそうじゃないですか。

佐野 具体的な数は言えないですけどね。

画像はDS Lite Orchestra公開時のユーザー試聴データーなのだが、男性9割、しかも30代後半から40代のオッサンばかりが反応していたことが分かる

── なぜAmazon専売だったんですか?

中川 まず、ゲームとして売っていくのか、楽器として売っていくのかによってそれぞれ難しい部分があって。そんな中Amazonさんに相談させてもらったら一緒にやりましょうと。話題にもなるので限定販売という形で。

佐野 ゲーム屋さんには「シンセと言われても分かんない」。楽器のほうでも「ゲーム機のソフトねえ」と。だからアプローチのしようがなかったということです。Amazon専売という、いいソリューションが見つかって良かったですよ。

── 業界的にはコウモリのようなポジションだったわけですね。Amazonは僕らみたいな年齢層(=おっさん)には買いやすいわけですが、でもプラットフォームがゲーム機だし、もっと下の世代に遊んでほしい気もしますね。

佐野 そうですね。ビジョンとしてはお年寄りとかもね。そう、今のお年寄りって、僕らが思うほど、お爺ちゃんお婆ちゃんでもないわけですよ。ただ、そうなると文字の小ささが問題ですね、DS-10の場合は。だから任天堂さんもデカいDSを作ってくれればいいのになと。孫とソフトが共用できるような。

── アナログシンセで育った世代としては、なんとかこのDNAを保存していきたいと思うわけですけど。

佐野 それが、いかんせんオヤジばかりが反応してしまってですね(笑)。いや、それで全然構わないんですけどね、元々そういう企画だったので。まだDS-10を知らない層があるので、そこにどうにかして訴えかけたいなと思いますね。

── 我々おっさんは老い先短いですからね、買っても何も残さない。

佐野 機会があるたびに小学校でやらせてくれ、って話はしてるんですけどね。楽しいと思いますよ、教室内が電子音で満たされたら。なにかをすると反応があるという、コンピュータの根源的な面白さがあるし。

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