理由#2 いつも「当たり前じゃない」ものが世の中を楽しくする
―― デザインやプロモーションも先進的なものですね。
加藤 腕時計やケータイなんかの「身につけるガジェット」に納得する理由というのは2つあるんです。「コンテンツの良さに納得する」か「外から見られた姿に納得する」という。そこで今回は「外から見られる」面も重視する、というものづくりにこだわったんですよ。
ケータイやパソコンでもそうですが、操作しているところを「見られる」ことを意識して作られた電子機器は少ないんですよ。表参道のイメージというのも、この製品が「どう置かれているか」というシチュエーションを作るための工夫です。とはいえまだデザインも発展段階なので、お客様からの「こう変わったらいいね」という意見を反映していきたいと思っています。
―― トレンドに敏感な若者をターゲットにした、ということでしょうか。
加藤 若者だけでなく、もっと楽しく外で使えるものがあってもいいと思ったんです。ただ(HMDそのものは)売るのが難しい商品であることには間違いないですよね。でも難しくない商品ってもうすでにあるものだし、当たり前のものだと思うんですよ。それで世の中が楽しくなっていくわけはないと思ったんです。
―― (パンフレットをめくりながら)たしかにホレボレしますよね。
加藤 モデルの方がですか?(笑) このパンフレットもそうですが、キーワードに「意外性」というものもありますね。(パンフレットのイメージ写真を指して)実際、こんなふうに庭に水をまいてる人が今の日本にどれだけいるかと聞かれたら「?」となりますよね。でも、そういう意味での引っかかりも重要だと思うんです。